土星の衛星エンケラドスで、氷に覆われた海から噴出する水蒸気(プルーム)を分析し水素分子を検出したと、米ジョンズ・ホプキンス大などの研究チームが発表した。米欧の探査機カッシーニが観測した。水素は地球の原始的な微生物が「食料」に利用しており、生命誕生の条件がエンケラドスにもある可能性を示唆するという。論文は14日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
エンケラドスは直径約500キロ。表面は厚さ2~60キロの氷で覆われている。土星の重力などによる変形で衛星内部が熱を持ち、氷の下には液体の水をたたえた海が存在する。カッシーニによる過去の観測で、氷の割れ目から有機物などを含むプルームの噴出が確認されている。
2015年10月、カッシーニはエンケラドスの上空約49キロまで接近し、プルームを通過。分析の結果、最大で1.4%の水素分子と0.8%の二酸化炭素が含まれることが分かった。
研究チームは、これまでの観測データなどと合わせて検討。高温に熱せられた海水が岩石と反応する「熱水反応」で水素が生じた可能性が高いと判断した。
エンケラドスの海に詳しい東京大大学院の関根康人准教授は「水素が見つかっただけでなく、微生物が生きられるレベルの量があることが分かった。20年代に計画されている生命探査に向け、強い後押しになる」と話している。
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湛える(たたえる) 充满。