28 梅が枝えにものうきほどに散る雪を花ともいはじ春の名だてに\源重之
【通釈】
28 梅の枝にうんざりしてしまうほどに散る雪を、花だとも言うまい。春の悪い評判を立てることになるから。○ものうきほどに いやになってしまうほどに。ちらちら散る程度の雪ならば、「梅が枝に降りおける雪を春近み目のうちつけに花かとぞ見る」(後撰?冬?読人しらず)と花になぞらえる気にもなるが、ひどく降るのでその気も失せてしまうのである。○名だて 評判を立てること。噂になること。ここは悪い評判の意でいう。▽重之集。同じ作者に「まだ咲かぬ枝に渦巻く白雪を花ともいはじ春の名だてに」(重之集)という類想歌がある。