到底寝れたものじゃないため、仕方なくオレはむくむくと起き出して、読書をすることにした。たしかこの前の続きはこの辺からだな……、えーと、ピクッピクッとわななきながらいきり立つ劉のたくましい如意棒は、芙蓉姫の生白い秘肉を押し広げその奥に待ち受ける魅惑のシャングリラへ、情欲にまみれた淫らな饗宴を待つ初心(うぶ)な童子のように……
パチッ
…………。
電気消された。
タバコを吸い終わって寝る体勢に入ったおっさんが勝手に電気消しやがった。
おまえな……。いくらなんでも、オレが今こうやって(青少年に良くない)本を読んでるのがわかってるだろうが。わかっててなんで消す? 自分が吸いたいからタバコを吸う、自分が寝たいから電気を消す、おまえの意識の中に同じ部屋にいるオレの存在は無いのか?? 自分さえ良ければそれでいいのか? この世はおまえのものか?? それとも、今回オレがエッチなことを書きすぎているからたしなめてくれたのか?? そういう意味があるの? でもしょうがないだろエロい体質なんだから。貴重なんだよこういう人は。希少価値があるよ。これだけ四六時中下ネタを考えて生活してる人間なんて、日本中捜してもオレか岩谷テンホーくらいなんだから。
とにかく官能小説も満足に読めないようじゃ起きていたってしょうがない。じゃあ寝よう。
…………。
そして10分後。
グガーーッ…ゴガーーッ…
……うるさい(涙)。
イビキがあまりにもうるさくて寝られたもんじゃない。なんでこいつは、部屋に来た瞬間からことごとくオレの邪魔をするのだろう。やることなすこと全てだ。この調子だと、来年のハワイでの挙式でまさにオレが新婦と誓いのキスをしようとするその瞬間も、このおっさんが「まてまてーい! その結婚、世間が認めてもこのオレが認めん!!」とわざわざ雲南省から邪魔しにやって来るのではないだろうか。
くそ……とりあえず気晴らしにトイレにでも行くか……。
オレは懐中電灯を手に、ドアを開けて廊下に出た。