オレが心の中で完全におっさんを嘲笑しつつ動向に注目していると、おもむろに彼は袋ごとカップ麺をかき混ぜ始めた。 …………。むむむむむむっっ!!! するとどうだろう。1周麺を回すごとに徐々にお湯に色がつき出し、何巡目かには見事なラーメンスープが出来上がったではないか!! そして最後におっさんは空になったスープの袋を取り出し、ポイッと捨てている。
…………。
ガクッ。
ま、間違っていたのは、オレの方だ。
そうだ、スープの素を端っこから切って搾り出すと、どうしても最後の何滴か、もしくはいく粒かの粉は、袋に付着して出てこないままその役割を終えることになる。しかし、彼のように中央から大きく切り広げて袋ごとお湯に浸せば、スープの素はお湯に侵食されて残らず溶け出すのだ!! つまり彼の方法の方が、日本式すなわちオレのやり方よりも確実にスープの素を使い切ることが出来ているのである!!!
おおお……、なんということだ……。オレは、中国4000年の歴史を侮っていた……。さすがラーメンを発明した国。本場のラーメン道というのはなんて奥が深いんだ……(涙)。おみそれしました(号泣)。
あっ。
成都に着いた!!!!!
もう書くのが面倒くさくなって一気に成都に到着したっっ(涙)!!!
さあ降りよう。
隣に座っていた教養のあるおじさま(マイリャオさん)は、「お世話になりました」と手を差し出すとわざわざ立ち上がって両手でオレの手を握ってくれた。オレは感動したぞ。この人こそが君子じゃないか。たしかに、珍プレー軍団に混じってこのように時々はちゃんとした君子な人もいるんだなあ。マイリャオさん、これからも君子同士、力を合わせて世の中を良くして行きましょう。