空調の直撃が我慢ならなかったため、オレはわざわざ自分でドアを閉めに行くことにした。すると、立ち上がった瞬間その空調の風が座っていた紙袋をスマッシュヒット!! ぴらぴら~んと宙に浮いた貴重な敷き袋は、そのままやはりドアの開いていたトイレの中まで飛んで行き、その汚床に見事に裏返って着地した。
…………。
きたない~~~っっ(泣)!! なんてこった~~~~~っっ(涙)!!!! 汚床から尻を庇う唯一のバリアがが~~~~っっっ(号泣)!! もうダメだ……これで座れなくなった……。座れないよ~到着まであと12時間32分もあるのに~~~~っっっ(まだ乗車して28分しか経っていないのであった)!!!
違う電車だが硬座はこんな感じ(これは比較的空いています)
……さて、そんなこんなで乗車から5時間。
オレは両膝を激しく痙攣させながら、薄れゆく意識の中で徐々に白み出したドアの小窓の風景に目をやっていた。うう……、写真1枚挟んだだけで5時間もすっ飛ばせるなんて日記って腹立たしいよな。この5時間、尻を汚床から守るために膝の痙攣を迎えてもなお立ち尽くしたこの苦しみ、それが体験記を読むとたったの20秒だなんて。
朝を迎えた段階でこの弱りようである。この揺れる連結部であと7時間は無理だ。時折ニュースで見かける、水の中で70時間ぐらい過ごしてギネス記録を更新するマジシャンでも、この中国の火車で連結部に立たされたら5時間でギブアップするはずだ。だいたい、あれをやっているマジシャンは、はっきり言ってマジシャンではなくてただの我慢強い人である。