1949年の建国以来、中国の建築は一部に大きい屋根を置くことを特徴とするクラシック期、建国記念プロジェクトの十大建築を代表とする社会主義建築の新スタイル期、現代的な設計法と民族的なイメージを一体化した広州スタイル期を経て、技術面では鉄鋼構造や鉄筋コンクリート期へと向かった。
政治的な要素が現代建築に大きな影響を与えた。建国十周年を記念して北京に建造された人民大会堂、工人体育場、民族文化宮、民族飯店、釣魚台国賓館などの十大建築は現在も独特な魅力を備え、時代の記憶を物語っている。一方、台湾地区でも1970年代後期から「中華文化復興運動」が起こり、政治や文化的な意味を持つ台北円山大飯店、台北中山記念館などの代表的な建物が造られた。
人民大会堂
北京の天安門広場の西側にあり、中国の指導者や国民が政治、外交活動を行う場所であり、中国の重要なシンボルの1つでもある。人民大会堂は1959年に建てられ、建築面積は17万平方メートル余り。雄大な大会堂は、黄色と緑の瑠璃瓦の屋根、高い柱、およびその周りに置かれた大小様々な建物は天安門広場に荘厳で美しい構図を形成した。人民大会堂の正門は天安門広場に面しており、正門の上には国章が嵌め込まれている。門の前には高さ25メートルの浅い灰色の大理石の柱が12本立っており、門をくぐれば優雅で素朴な中央ホールへ出る。ホールの裏には幅76メートル、奥行き60メートルの万人大会場があり、大会場の北は5000席ある大宴会ホールとなっている。人民大会堂のホールと会議室は合わせて100以上あり、それぞれに特色がある。建築スタイルにおいて、人民大会堂は中国の伝統的な設計理念を受け継ぎながら外国の精髄を吸収しており、穏やかで優雅なものとなっている。
北京香山飯店
北京・西郊外の香山公園の中にあり、1982年に建造された。設計はアメリカで有名な貝聿銘(イオ・ミン・ペイ)建築設計事務所が担当した。中国の庭園建築の要素を取り入れ、中軸線や空間の配置、庭園の処理では秩序を守りながら工夫を凝らしている。建物全体は山の地形に沿っており、高低の変化や曲線も多い。白を基調とした建物の外壁は城郭式で、窓の造りも規則正しい。香山飯店の庭に見られる建築配置は江南地域の庭園の巧みな部分と北方の庭園の広さを兼ね備え、築山や湖、草木は、白い壁と灰色屋根の本館とは対照的で互いを引き立てている。建物全体は中国の伝統的な庭園建築のスタイルを持ちながら、現代の観光面の機能も備えている。1984年にアメリカ建築家協会栄誉賞を受賞した。