この新薬典編纂のため、李時珍は800種類余の医学著作とその他の書籍を閲覧し、自身が普段から収拾した資料に依拠し、編纂中の薬典に対して3回も大きな修正を行った。30年ほどの努力を経て1578年、李時珍はようやく後世まで残る大著『本草綱目』を完成させた。
『本草綱目』全書は合わせて190万字余りあり、16部、60類、50巻に分けられ、1892種の薬物と11000余の処方が載せられていると共に、閲覧者に便宜を図るため、各種薬物の複雑な形態を描いた1100枚を超えるイラストも添えられている。『本草綱目』の成果は大変多い。まず、登録した薬物に対して新たな分類を行った。例えば、草類や動物類の薬物に対して科学的な分類を行った。また、『本草綱目』は前人の冒した間違いや表現が適切でない箇所を修正したり、明確にして新発見の薬物や薬物の効能などを追加した。日本でも何度も翻訳・発行され広く伝わっている。また、イギリスやフランス、ドイツなどの国でも訳本がありラテン語の訳本もある。17世紀から、『本草綱目』は世界各地に伝わり、近代の薬物研究者たちが参考にする重要な文献となった。