蒲松齢(1640-1715)は清代の文学者である。商人の家に生まれ、生涯私塾の教師で生計を立てていたと言う。彼は数多くの文学作品を書いたが、短編小説集『聊斎志異』が代表作である。
『聊斎志異』は全部で431篇、うち短いものは200~300字、長いものは数千字ある。全篇ことごとく神仙・狐・鬼・化け物・不思議な人間に関する話で、それを通して封建社会の礼儀や道徳、腐りきった科挙制度などを厳しく批判し、個性の自由を主張した。
『聊斎志異』に登場する狐は大部分美しく善良な少女の姿で現れるが、中でも「小翠」が最も美しく描かれている。作者は優れた表現力で純粋で善良で賢く可憐な少女・小翠の姿を描き出し、物語の終わりになって初めて彼女が狐であることを明らかにする。
『聊斎志異』に美しい狐のほかに醜いが善良な狐も描いている。例えば「醜い狐」は、ある貧乏な書生を助けてきた醜い狐が、恩知らずの書生に復讐をするという物語。
『聊斎志異』は中国文学史の不朽の傑作である。200年あまりの間にこの小説集は映画化されたほか、20種の外国語に翻訳され世界各国の人々に歓迎されています。