『西遊記』の作者は今の江蘇省淮安出身の呉承恩である。幼いころから聡明で、書道のほか詞や曲にも大きな興味を示し、碁にも精通していた多芸多才な人物だった。しかし、科挙の試験を何度受けても成功せず、生活や境遇は貧困を極めていた。彼はそんな現実を変えようと思ったがかなわず、やむを得ず空想の世界に望みを傾注した。
『西遊記』は呉承恩の晩年の作品だが、彼は青年時代から『西遊記』を書くためにいろいろと準備していた。30代に『西遊記』を書く計画を立て、50歳になってから『西遊記』前篇の十数回分を書いたが、さまざまな原因で一時中断した。晩年、官職を辞任して故郷に戻ってからようやく『西遊記』の創作を完成させたのである。
『西遊記』は1つ1つ違った内容の物語からなり、1つの物語は独立していながら前後との連続性もある。小説に出てくるさまざまな神仙や妖怪はそれぞれ正義と邪悪を代表しており、作者は小説で神話の世界を作り上げようとした。この神話の世界で呉承恩が創造した孫悟空は優れた技を持ち、悪を憎んで秘密武器「如意棒」ですべての妖怪を退治する。これは現実社会のすべての醜悪を一掃しようとする呉承恩の強い願望を表わしている。
『西遊記』は後世への影響が非常に大きく、数百年来、多くの人々特に子供たちに愛読されている。