七音以上で、枕詞と同様、ある言葉を導くためにの語で、背景を具体的にイメージさせたり、連想させたりする効果を与える。訳す必要がある。
(1)意味的な関連なもの[訳すときは「~のように」]
みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに(古今集・恋)
(みちのくのしのぶもぢずりの乱れ模様のように、誰のために私の心が乱れるのでしょう。)
(2)音的なもの[訳すときは「~ではないが」]
住江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ(古今集・恋)
(住江の岸に寄る波ではないが、夜までも夢の中の通い路で、
あの人は人目を避けるのだろうか。)
(3)掛詞の序詞[訳すときは「~という」]
立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む(古今集・離別)
(あなたと別れ、因幡の国へ行ったとしても、その因幡の山の峰に生えているという
松のように、(あなたが私を)待つと聞いたのなら、すぐに帰りましょう。)