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Ⅰ 否ひ定てい
ものごとを打うち消けすとき
★3
1 ~はずがない
2 ~わけがない
★2
3 ~ことなく
4 ~もしない
5 ~どころではなく・~どころではない
6 ~ものか
★1
7 ~なしに・~ことなしに
8 ~までもなく・~までもない
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Ⅰ・1 ~はずがない ★3
【~という可か能のう性せいがない】
①「王ワンさん、遅おそいですね。どうしたんでしょう」
「王さんは来られるはずがないよ。今日は大たい切せつな会かい議ぎがあると言いって
いたから」
②「けさ、品しな川がわ駅えきで佐さ藤とうさんを見ましたよ」
「そんなはずはありません。佐藤さんは今アイルランドを旅りょ行こうしていますよ」
③チンさんは生なまの魚さかなは食べないから、さしみが好すきだと言うはずがありませ
ん。
④「え、さっき見た写しゃ真しんがない? そんなはずない。机つくえの上うえに返かえ
しておいたよ」
「あ、あった、あった、ごめんなさい」
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nの・Nである)+はずがない
▶1)ある事じ実じつをもとに「その可か能のう性せいがない」と言いうときに使つかう。話す人の主しゅ観かん的てき
な判はん断だんを表あらわす。話し言こと葉ばでは④のように「〜はずない」とも言う。
2)Ⅰ・2「~わけがない」で言うこともできる。
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Ⅰ・2 ~わけがない ★3
【当とう然ぜん~ない】
①昔むかしの日本のことを聞いても、外国人の彼かれが知しっているわけがないじゃない
か。
②こんな小しょう説せつをあの人が読むわけがない。あの人は雑ざっ誌しやマンガしか読
まないんだから。
③こんなに気き温おんが低ひくくて雨が多おおい夏なつだから、秋あきにおいしい果くだ
物ものがとれるわけがない。
④「大おお山やまさん、暇ひまかな。テニスに誘さそってみようかな」
「彼かの女じょは今、就しゅう職しょく活かつ動どう中ちゅうだから、暇なわけない
よ」
接続 普ふ通つう形けい(ナAな・ナAである/Nの・Nである)+わけがない
▶1)ある事じ実じつをもとに、そのことが成せい立りつする理り由ゆう・可か能のう性せいがないと強つよく言いうと
きに使つかう。話す人の主しゅ張ちょうや主しゅ観かん的てきな判はん断だんを表あらわす。話し言こと葉ばでは
④のように、「~わけない」とも言う。
2)Ⅰ・1「~はずがない」に置おきかえることができる。
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Ⅰ・3 ~ことなく ★2 W
【~ないで】
①花はな子こさんの部へ屋やから芝しば居いの練れん習しゅうをする声こえが、夕ゆう方
がたまで途と切ぎれることなく、聞こえていた。
②彼かれは夏休みも帰き国こくすることなく、研究を続つづけた。
③林ばやしさんはだれにも相そう談だんすることなく、学校をやめてしまった。
④犯はん人にんは人に怪あやしまれることなく、その家の庭にわに入ることができた。
接続 Vる+ことなく
▶1)「普ふ通つうは~する、または~してしまうが、この場ば合あいは~しないで」という意味を表あらわす。
2)硬かたい言こと葉ばなので、日にち常じょう的てきなことにはあまり使わない。
╳今日は、さとうを入れることなくコーヒーを飲みたい。
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Ⅰ・4 ~もしない ★2
【全ぜん然ぜん~しない】
①わたしが出した手紙を、彼かれは開きもしないで捨すててしまったそうだ。
②わたしが作った音楽のCDを聞きもしないで、いろいろ言わないでください。
③食事の時間だと声こえをかけたが、兄は立ち上がりもしない。疲つかれているのだろ
う。
④よく調しらべもしないで、簡かん単たんに結けつ論ろんを出さないでください。
接続 Vます+もしない
▶「最さい低ていの~さえしない・全まったく~しない」と不ふ満まんの気持ちを持もって言うときの言い方。
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Ⅰ・5 ~どころではなく・~どころではない ★2
【~はとてもできない】
①はじめて九きゅう州しゅうへ来たのに、見物どころではなく夜よる遅おそくまで会かい
議ぎだ。
②「高たか橋はしさん、来週の金曜日、サッカーの試し合あいのチケットがあるんだけ
ど、行きませんか」
「すみません。わたし、今忙いそがしくてサッカーを見に行くどころではないんです」
③結けっ婚こんしたころはお金がなくて、お祝いわいをするどころじゃなかった。
接続 Vる/N+どころではなく
▶「~のようなことをする余よ裕ゆうはない」と強く否ひ定ていする言い方。
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Ⅰ・6 ~ものか ★2 S
【決けっして~ない】
①「展てん覧らん会かい、どうだった」
「あんな人の多いところへ2度どと行くものか。作さく品ひんはぜんぜん見えなくて、
人の頭あたまばかりだったよ」
②寮りょうの食事ではじめて納なっ豆とうが出たときには「こんなものが食べられるもの
か」と思った。
③「田た中なかさんって、正しょう直じきな人ですね」
「田中さんが正直なもんか。田中さんの言うことはうそばかりだ」
接続 普ふ通つう形けい(ナAな/Nな)+ものか
▶1)話わ者しゃの強い否ひ定ていの気持ちを表あらわす言い方で、反はん語ごを使った少し感かん情じょう的てきな言い
方。
2)「ぜったいに・けっして」などとともに使うことが多い。③の「~もんか」はくだけた言い方。
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Ⅰ・7 ~なしに・~ことなしに ★1
【~ないで/~なく】
①2時から4時までは取しゅ材ざいですから、事じ前ぜんの断ことわりなしに、呼よび出
しをしないでください。
②わたしたちは3時間、休きゅう憩けいすることなしに会かい議ぎを続つづけた。
③厚あつい本なのにあまりにおもしろくて、中ちゅう断だんすることなしに終わりまで読
んでしまった。
接続 N+なしに Vる+ことなしに
▶「~なしに…」の形かたちで、動作を表あらわす言こと葉ばについて「普ふ通つうは~するが、この場ば合あいは~し
ないで」という意味を表す。
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Ⅰ・8 ~までもなく・~までもない ★1
【~しなくてもいい】
①簡かん単たんな計けい算さんだから、電でん卓たくを使うまでもない。
②詳くわしい説せつ明めいがここに書いてあるから、わざわざ店員さんの話を聞くまでも
なく、読めばわかる。
③中なか村むらさんはアメリカへ転てん勤きんになったそうだ。林はやしさんが本人から
直ちょく接せつ聞いたのだから、確たしかめるまでもないだろう。
④熱ねつもないんだから、わざわざ病院に行くまでのこともない。1日休めば治なおるだ
ろう。
接続 Vる+までもなく
▶「それほどのことをする必ひつ要ようはない」という判はん断だんを言いたいときの表ひょう現げん。④のような慣か
ん用よう的てき表現もある。