第二節 日本の山地
日本列島には山地や山脈が多く、日本の全国土面積の約75%を占めており、大きな平野はない。山地・山脈は東北日本では3列に、西南日本では2列に並び、日本列島の中央を背骨のようにつらなって、国土を太平洋側の表日本と日本海側の裏日本とに二分している。
東北日本と西南日本の山地が出会う本州の中央部には海抜3000メートル前後の飛騨、木曽、赤石の三山脈が聳えて、日本の屋根(日本アルプス)と呼ばれる高山地帯を形成している。
西南日本を走っている2列の山脈の間には「中央構造線」と呼ばれる断層があり、これによって、西南日本は内帯(日本海側)と外帯(太平洋側)に分けられている。内帯を走る山脈は一般になだらかであるが、外帯を走る山脈は高くて険しい。このように、日本には飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈のように高くて険しい山脈もあれば、北上山地、阿武隈山地、中国山地のように、なだらかな高原状の山地もある。
日本には火山が多く、大小あわせて76もあり、活火山だけでも50あまりある。日本列島は七つの火山帯によってほとんど覆われている。七つの火山帯とは、千島、那須、鳥海、富士、乗鞍、白山、霧島である。火山の中には今でも噴火を続ける阿蘇山、三原山、浅間山などの火山がある。また、火山活動によってできた湖や温泉も沢山あるので、保養地や観光地として利用されている。
日本の山地はほとんど森林に覆われ、木材の産地として重要である。火山の裾野や高原地帯も広い面積を占め、麓には段々畑が開かれている所がある。また、火山の裾野や高原は水の便利さが悪いが、牧場として利用されている所もある。
富士山は日本で一番高い山で、高さが3,776mあり、典型的な円錐形活火山で、美しく広く裾野を持ち、冬には中腹まで雪に覆われ、一層美しさを増す。また、そばに山がないので麓から頂上まで見え、どちらから見ても、ほとんど同じ形である。昔、何度も噴火を繰り返していたが、今は活動を休んでいる。
富士山の北側には、美しい湖が五つあり、その湖を富士五湖という。富士五湖の近くは、林が続いているが、富士山の上には木も草も生えていない。一年中雪がある所もある。一般の人が富士山に登ることができるのは、七月の初めから八月の終わり頃までできる。
阿蘇山は二重式火山である。二重式火山というのは、一度噴火した所が陥没して火口原になり、その中に、また火口ができたものである。阿蘇山の旧火口は三、四万年前にできたものであり、東西18km、南北24kmもある世界で一番大きい火口である。今、この火口原で、多くの人々が農業や牧畜をして生活している。火口原の中をJR(鉄道)線も通っている。日本には国立公園が28あるが、阿蘇山もその中の一つである。
北海道には沢山火山もあるが、その中の一つの有珠山は、1977年に大爆発をした。それより33年前の1944年にも爆発し、その時、少し離れた所に昭和新山が生まれた。ある日、畑だった所が突然高くなり始め、一年の間に、407mの山ができ、これが昭和新山である。これは地の中の溶岩が持ち上がって山になったのであるが、昭和新山のように、山ができる時、はじめからよく見ることができたのは大変珍しいことである。
昭和新山のそばには洞爺湖という美しい湖がある。洞爺湖はカルデラ湖であり、カルデラ湖というのは昔噴火口だった所が湖になったものである。洞爺湖から少し離れた所に登別温泉がある。登別温泉は北海道で一番大きな温泉である。ここには昔噴火口だった所からお湯が噴き出している所がある。