第六節 植物と動物
日本の気候の地域差は顕著であるので、植物の生態は複雑で多極化している。日本にある約4,500種の植物のうち、約1,000種は日本固有種である。
北海道を含む日本北部には、トドマツなどの針葉樹など、シベリア地域と似通った植物が見られる。日本中央から九州にかけての平地には、クリなどの温帯落葉樹が多い。東北地方から中部山岳地帯ではブナ・カエデなどが広がる。これらの林は5月から6月には美しい新緑に覆われ、秋には山々は色とりどりの紅葉に彩られる。桜は日本人にはことのほか愛され、日本全土で植林されている。
日本は植物相が極めて複雑であるので、動物相も寒帯性動物から熱帯性動物まで極めて多様に発達している。
北海道にはヒグマなどシベリアの動物と同種のものがいる。本州には中国大陸・朝鮮半島と共通した動物が沢山いる。典型的なものはキツネ・タヌキである。また、本州にはシカ・キジなどの固有種がいる。このほかには、高山地帯の鳥で四季に応じて羽根の色を変えるライチョウがいる。かつて本州に生息していた日本オオカミは今は絶滅している。日本には北海道を除くどの地方にも、サルが一種だけ生息している。サルは本来熱帯性の動物で、寒帯には野生していない。しかし、日本ザルは青森県(北緯40度)にも生息しており、これはサルの北限になっている。雪の中で跳ね回る猿が見られるのは日本だけである。