第一節 地下資源とエネルギ-
資源とは、人間が生存と生活のために利用する自然の素材のことである。自然の中の何を、何のために資源として使うかは、技術と関係している。例えば、電気エネルギーは、自然には雷のような形で現れるが、その形では人間には利用できない。人間は人工的に電気エネルギーをつくり出す技術を発達させてきた。その結果、水力は、電力のための資源という新しい性格を持つようになった。また、最近のセラミック技術によって、砂は新素材の原料という新たな資源機能を持つようになっている。
資源は多用な内容を持っている。一つの区分として、自然の営みをそのまま利用するもの(空気、水、動植物など)、工業製品の原材料のように加高度を高くして利用するもの、人工的にエネルギーをつくり出し材料となるものに、分けられる。資源問題・エネルギー問題という言い方に見られるように、エネルギーは一応資源と区別される。そして、人工的にエネルギーをつくり出すには、資源が必要である。だから、エネルギーも資源にほかならない。
もう一つの区分は、循環的かどうかである。石油のように自然の長い歴史がつくってくれて大量に地中に蓄えられてきた資源も、使い切ってしまえばなくなる。このような資源を、非循環的資源という。石油のほかにも、石炭も天然ガスも、核燃料としてのウラン鉱も、もっぱら原材料として使用される多くの金属鉱物もそうである。
これに対して、太陽エネルギーに基づいて発生するエネルギー(太陽熱、太陽光、光合成、風力、水力、波力潮流)や、潮汐、地熱などは自然の営みが循環的に供給してくれるもので、循環的資源と呼ぶ。植物、魚類、動物も循環的資源であり、食糧や原材料として使われる。
現代の資源問題の代表は石油である。石油は資源として、工業原料として、またエネルギー源としてもそれぞれ多用な用途を持っている。また、現代生活のすみずみにまで利用されている最重要資源といえる。
日本の国土は地質が錯綜しているので、地下資源の種類が多い。主な鉱産物は、石炭、金、銅、石油、銀、亜鉛、硫黄、錫、鉄、鉛、硫化鉱、石灰石、粘土、陶土、そのほかの石材、砂利などである。しかし、石灰石、硫黄、石炭などを除くと、いずれも埋蔵量が少ない。今、日本は経済を発展するにつれて利潤の追求が第一に置かれるから、国内資源の開発に多くの金を使うよりも、外国産の地下資源を輸入した方がコストが安くつくということもあって、ほとんどの地下資源は輸入に頼っている。その中、原油と鉄鉱石は99%以上を外国から輸入している。
日本で使われているエネルギー資源には、石油、石炭、水力、原子力などがある。
石炭は、日本の地下資源の中では、わりあい多くとれるものの一つで、近代産業のエネルギー資源として早くから利用され、北九州、山口、常磐、北海道などの炭田が開発された。しかし、1960年代に入ってから、工場を始め、火力発電所や機関車の動力、家庭燃料にも石油が使われるようになり、石炭鉱業は急速に衰えて、今は、ほとんど閉山された。
これに対して、石油の使用料は非常に増えている。これは、石油が石炭にかわって動力や燃料として使われるようになったこと、さらに石油化学工業が盛んになったためである。日本の石油は日本海側の新潟県、秋田県、山形県などでわずかにとれるだけである。
日本は雨量が多く、川の流れが急なので、水力発電に適している。以前、東北地方や中央高地などの山地で電源開発が行われてきたが、近年はますます大規模なダムが建設されるようになった。しかし、工業の急速な発展に伴って、火力発電所も沢山建設されたので、今は、火力発電が多くなっている。
石炭、石油、水力のほかに、最近では原子力の利用が進められ、茨城県東海村の原子力発電所など九ヵ所で発電が行われているが、安全や廃棄物処理などの面で、なお研究を必要としている。計画によると、2000年には、日本のエネルギー消費量の15~20%は原子力発電によってまかなわれるようになると予想されている。