「このクラゲみたいに漂っている国を、固めて創り上げなさい」
と命じ、天沼矛(あめのぬぼこ)という立派な矛を授けました。
イザナギとイザナミは天浮橋(あめのうきはし)に立ち、クラゲみたいに漂っているあたりを矛でごろごろとかき混ぜます。引き上げた矛から落ちた滴が積もって島になりました。これがオノゴロ島(実在しないという説のほか、兵庫県南あわじ市の沼島(ぬしま)説などがある)です。
イザナギとイザナミは島に降り、大きな柱を立て、広い御殿を建てました。
そしてイザナギはイザナミに尋ねました。
「あなたの身体はどうなっているの?」
「私の身体はできあがっていますが、一箇所だけできあがっていない部分があります」
このようにイザナミが答えると、イザナギは、
「私の身体もできあがっていますが、一箇所だけ余ってしまった部分があります。
そこで、私の余った部分であなたのできあがっていない部分を塞いで、国土を創りたいと思うのですが…どう?」
と聞き返し、イザナミは同意しました。