自分の顔についている墨は、人に注意されるか、鏡で見なくては気づかない。つまりそれまでは、顔の墨は存在しないと同然だ。鏡を見て尻、墨は現実に存在し始める。【 】。富士山を逆さに映す田子の浦も、天草を向こうに見る不知火海も、青く、静かで、美しい。しかし、その海の底へヘドロ注1がたまり、水銀が淀んでいたと知った時、その美しい海は姿を変え、別の意味を持ってみる人に迫る。
注1 ヘドロ:海・河・湖などの底に、産業廃棄物などが堆積してできた泥状物質。
問 この文章の【 】の部分に入れる最も適当な分を選びなさい。
1 自然の美は、見せ掛けではない。
2 他人に見られて、自分を知る。
3 知ることで、現実は変貌する。
4 存在するものには、意味がある。