[書き下し文]克(こく)・伐(ばつ)・怨(えん)・欲(よく)、行われざる、以て仁と為すべし。子曰く、以て難し(かたし)と為すべし。仁は則ち我知らざるなり。
[口語訳]『他人に勝ちたがること・他人に自慢すること・恨むこと・欲深いこと、これらがなければ仁と言えるでしょうか。』。先生が言われた。『それらを無くすことは極めて難しいだろう。しかし、それが仁であるか否かは私は知らない。』
[解説]ある人が孔子に『仁の本質』について問いかけ、『勝ちたがること・自慢すること・恨むこと・欲深いことがなければ仁と言えるか』と質問した章である。孔子は『仁』についての明言を避け、それらの高潔な人格の要素は重要なものであるが、仁そのものの条件であるかは分からないと慎重な回答を返している。