[書き下し文]微生畝(びせいほ)、孔子に謂いて曰く、丘(きゅう)は何為すれぞ(なんすれぞ)これ栖栖(せいせい)たる者ぞ、乃ち(すなわち)佞(ねい)を為すことなからんや。孔子対えて曰く、敢えて佞を為すに非ざるなり。固なるを疾めば(にくめば)なり。
[口語訳]微生畝が孔子を評して言った。『孔子はどうしてそんなに落ち着きがないのだろうか。もしかして、弁舌の才覚を生かして主君に取り入ろうとしているのではないか。』。先生が言われた。『弁舌で主君に取り入ろうとは思っていません。頑固になることを嫌っているだけです。』。
[解説]微生畝というのが歴史上のどんな人物なのかは分かっていないが、この場面では「丘」と呼び捨てにしていることから、孔子よりも目上の立場の人物だったと推測される。理不尽な誹謗を受けた孔子であったが、『弁舌によって佞臣になろうというような卑俗な意図』はないと簡潔に返答している。