[書き下し文]子曰く、賢者は世を避け、その次は地を避け、その次は色を避け、その次は言を避く。子曰く、作す(なす)者七人あり。
[口語訳]先生が言われた。『優れた賢者は世俗から身を避ける。その次に優れた人物は、混乱した地方から遠ざかる。その次の人物は、人の顔色を見て危難があれば避ける。その次の人物は、人の言葉を聞いて危難があれば遠ざかる。』。先生は更におっしゃった。『これが出来た人物は七人いる。』。
[解説]孔子が『賢者の隠棲主義(隠遁主義・逃避思想)』について言及した章であるが、孔子が老荘思想的な『世俗からの隠遁』を肯定的に評価する発言をしているのは極めて珍しい。また、儒教は後年になると道家の思想的影響を受けるようになるので、この発言が孔子自身の言葉であるかは分からない面もある。