[書き下し文]孔子曰く、君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌(かたち)には恭を思い、言(ことば)には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問いを思い、忿(いかり)には難を思い、得るを見ては義を思う。
[口語訳]孔先生が言われた。『君子には九つの思うことがある。見るときにははっきり見たいと思い、聞くときには細かく聞きたいと思い、顔つきは穏やかでありたいと思い、姿には恭しくありたいと思い、言葉には誠実でありたいと思い、仕事には慎重でありたいと思い、疑わしいことには質問することを思い、怒りには後々の困難を思い、得を見たときには道義を思う。』
[解説]君子の徳目を『九思』という形で箇条書き的にまとめたもので、君子たる者がどのような振る舞いや態度を取るべきなのかを直感的にイメージすることが可能である。