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三、練習始動(10)

时间: 2025-06-27    进入日语论坛
核心提示:逆に上級生になると、走は自分のシューズを下級生に洗わせるのをいやだと感じた。走るときに必要な、大切なものだ。かつての先輩
(单词翻译:双击或拖选)

  逆に上級生になると、走は自分のシューズを下級生に洗わせるのをいやだと感じた。走

るときに必要な、大切なものだ。かつての先輩たちが、どうしてシューズを簡単に他人の

手に預けることができたのか、走にはわからなかった。

  同じ学年のチームメイトからは、「規律が乱れる」「かっこつけるな」と陰口を叩かれ

た。走はすべて無視した。走の速さにはだれも追いつけなかったし、上級生になって気兼

ねなく走れれば、それだけで満足だったからだ。言わせておけと思っていた。

  走は部内で、孤高の存在として遠巻きにされるようになった。言いかたを変えれば、や

や孤立していた。

  だが竹青荘では、呼吸がしやすい。生まれた年の数年の違いを、気にするものはだれも

いない。お互いに言いたいことを言いあっている。いまも双子の喧嘩を、ニコチャンがお

さめたところだった。両者のイチゴの器に、練乳と牛乳と砂糖を等しく投入する、という

強引なやりかたで。

「ひどいよ、ニコチャン先輩!  俺は牛乳と砂糖で食べたかったのに」

「入ってるだろ」

「俺は断然、練乳がよかった」

「だから、入ってるだろ」

  平行線をたどる双子とニコチャンのやりとりは放っておいて、走は後かたづけをする清

瀬を手伝った。並んで流しに立ち、食器を洗う。

「ハイジさん。何時ごろに商店街のあたりを走ってますか?」

「八時ぐらいかな。どうして?」

「いえ、ちょっと」

  皿を下げにきたムサが、走に目配せしてみせた。

  走はニコチャンとユキと一緒に、商店街の入り口にある児童公園へ行った。砂場やブラ

ンコやすべり台のあいだを、ぐるぐる走りつづけるのは単調だったが、ジョッグをしなが

ら商店街を見張る手段はほかになかった。

  薄暗い外灯の下で公園内を三十周ほどし、いいかげん目がまわってきたなと思っている

ところへ、清瀬たち竹青荘の一団が現れた。角を曲がって、駅前までつづく大きな商店街

へ入っていく。走力にばらつきがあるので、列は縦に長くのびていたが、王子もなんとか

ついていっている。

「来ましたね」

「こっそりあとをつけてみよう」

  走たちも公園から出て、商店街に入った。

  細い通りの両側に、たくさんの個人商店が並ぶ。一日の仕事を終え、シャッターを下ろ

しているパン屋。閉店時間前に品物を売りつくそうと、威勢のいい声を張りあげる魚屋。

夜を迎えて客が入りはじめたスナック。

  ぼんぼりを模した街灯が、橙だいだい色いろの光を投げかける。駅から歩いてくる帰宅

途中の人々や、タイムサービス目当ての買い物客で、商店街はにぎわっていた。

「いくらなんでも、王子は遅い」

  ユキがぼやく。「追い抜かずに走るのが困難だ」

  走たちは通行人の陰に隠れるようにして、王子のかたわらをすり抜けた。つづいて背中

が見えたキングのことも、気づかれずにうまく追い越す。

「ハイジだ」

  ユキが顎で前方を指した。清瀬がこちらに向かって走ってきている。

「なんで戻ってくるんだ、あいつは」

「駅で折り返したにしては、早すぎますね」

  三人はうつむきがちになってやりすごそうとしたが、もちろん清瀬が気づかないわけが

ない。

「なにをこそこそしてるんだ、きみたちは」

  駅のほうへ走っていた走たちの横で、清瀬はくるりと向きを変え、伴走する形になっ

た。

「ハイジさんこそ、どうしたんです」

  走が尋ねると、

「後ろを走ってるやつらの様子を見にきた」

  と清瀬は答えた。いつもながら、万全の管理能力だ。いったいこのひと、みんなに目を

配るために、どれだけの距離を走っているんだろう。走は少し心配になった。脚だって完

璧に復調したわけではないようなのに。

  そのあいだにも、清瀬はユキと会話を進めていた。

「ハイジたちのほうで、なにかおもしろいことが起こってるって、走が言うから。見にき

たんだ」

「ああ、あれじゃないか?」

  清瀬がすっと指さした先に、並んで走る神童とムサの姿が見えてきた。

「なにやってんだ、あいつら」

  ニコチャンが首をかしげたのも無理はない。神童とムサは白いTシャツを着ていたが、

その背にマジックで黒々と、なにか文字が書いてあった。走は目をこらし、商店街のまん

なかを走り抜けていく、二人の背中の文字を読み取った。

  箱根駅伝を目指しています!!

  寛政大学陸上競技部  後援者募集中

「……ちゃんとレタリングしてあるな」

  とユキがコメントした。

「神童が手作りしたらしい」

  清瀬は乱れのない呼吸のまま、淡々と説明する。「恥ずかしいからやめろと言ったんだ

が、資金を募るために必要だと押し切られた。本当は人数分作ってあるらしいぞ」

  絶対に着たくない、と走は思った。神童はいつも物静かで、俗世とは関係ないところで

超然としている雰囲気があるのだが、けっこう実務に向いていたようだ。

「意外ですね。神童さんが、積極的に金集めに動くなんて」

「走りを通して、人間の思わぬ側面が見えてくるものだよ」

  清瀬はそう言って笑い、「神童、ムサ」と、まえを行く二人に声をかけた。

「この三人が、営業活動に協力したいそうだ」

  言ってない言ってない、と走たちはそろって首を振った。合流した走に向かって、ムサ

はちょっと手をあげてみせた。

「神童さんお手製のTシャツ、走にもあげますね。そして走、あれを見てください」

  商店街の人混みを縫うように走る、一台の自転車があった。乗っているのは同年代ぐら

いの女の子だ。髪の毛をひとつに束ねたその子は、なにかを見据えながら一生懸命に自転

車を漕いでいる。たまに見える横顔がすっきりと整って美しいことが、距離を置いていて

もわかった。

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