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四、記録会(2)

时间: 2025-06-27    进入日语论坛
核心提示:「そう。そのなかでも七位以下の大学は、予選会の合計タイムにインカレポイントを加味したタイムで、最終的な順位を決定されるん
(单词翻译:双击或拖选)

「そう。そのなかでも七位以下の大学は、予選会の合計タイムにインカレポイントを加味

したタイムで、最終的な順位を決定されるんだ。説明が非常にめんどくさいから、ひらた

く言うが、インカレでいい成績を出した大学は、そのぶんがポイントとなって、合計タイ

ムからどんどん秒数を引いてもらえる仕組みだ。インカレポイントのおかげで、実際の合

計タイムより五分以上も少ないタイムになった例もある」

「じゃあ、予選会だけの成績でいったら上位だったのに、インカレポイントのせいで逆転

されて、本戦に出場できなかった、っていうこともあるの?」

  とジョータが聞いた。

「ああ。箱根駅伝は正月にテレビ中継されるから、大学のいい宣伝になる。それで大学側

は、いい選手を集めまくって、効率よく箱根駅伝に出られさえすればいい、と考えがち

だ。インカレポイント制には、そういう大学への牽制の意味があるんだ。競技会にきちん

と参加して、駅伝だけじゃなく、陸上の本筋であるトラックにも対応できる人材を育て

ろ、ということだろう」

「生臭い話じゃねえか」

  ニコチャンが苦笑し、

「どんな世界にも、お金の問題は絡んでくるということですね」

  神童は広報活動の重要さを思ったのか、やるせなさそうに息を吐いた。

  室内に流れる、やや鼻白んだ空気をものともせず、キングが言った。

「よっしゃ。ハイジ、走。インカレに出場してポイント稼げ」

「それは無理だね」

  とユキが冷たく切り捨てた。「うちは弱小陸上部だ。ポイントは、インカレでの大学ご

との順位と出場人数に応じてつく。ハイジと走の二人が、いくらインカレで頑張ったとこ

ろでどうしようもない」

「困りましたね。お金もないし、インカレで活躍できそうもない。いったい私たちは、ど

うすればいいんでしょう」

  肩を落とすムサを、「大丈夫だよ」と、気を取り直した神童が励ました。

「予選会で、上位六校以内に入ればいい。そうすれば、インカレポイントは関係ない。弱

小校は弱小校らしく、堂々と合計タイムだけで勝負しよう」

「よく言った、神童」

  清瀬がうれしそうにうなずく。

「俺たちにとっては、そのタイムが当面の大問題だと思うが」

  と、ユキがひっそり指摘した。

「まあ、俺らは記録会に出て、段階を追ってタイムを上げていくとして」

  ニコチャンは針金人形を生産しながら言った。「走とハイジはインカレで、他大のやつ

らの度肝を抜いてやれよ」

「よっしゃ。走、ハイジ。とにかくポイント稼げ」

  とキングがまた言った。

「だから、二人だけでポイントを稼ぐのは無理なんだってば」

「ひとの話を聞いてないんだもん、キングさんは」

  ジョータとジョージは、口々にキングを非難する。走は無言を通した。インカレ出場を

勧めてくるキングに、かまっている余裕がなかった。「東体大」の字を見るうちに、思い

出したことがあった。

  たしか、 さかきは東体大に入ったんじゃなかったっけ。走の脳裏に、高校時代のチー

ムメイトの顔が浮かぶ。一足早く梅雨に突入したみたいに、陰鬱な気分になった。

  東体大記録会に出たら、確実に と顔を合わせることになる。そのとき は、どうする

だろう。陸上の強豪校に入学した に、いまの俺は勝てるのか?

  トイレに行くふりで双子の部屋を出た走は、そのまま階段を下り、玄関の引き戸を開け

た。庭の砂利が星明かりに照り映えていた。誘われているようだ。白く光る道へ。走自身

の心の奥深いところへ。

  思わず走りだそうとして、健康サンダルであることに気づき、足を止めた。ニラが縁の

下から出てくる気配がした。走はひとつ息を吐いてから、母屋のほうへゆっくりと歩い

た。ニラの濡れた鼻先が、足の指に押し当てられる。走はしゃがんで、あたたかい毛皮を

なでた。

  ニラがふいに、勢いよく尻尾を振った。背後で砂利を踏む音がする。振り返らなくても

わかった。清瀬だ。

  走の隣にしゃがんだ清瀬は、ニラの耳のあいだをくすぐった。ニラが喜んで鼻を鳴ら

す。しばらく待ったが清瀬が無言のままなので、走は自分から切りだした。

「本当に、俺を記録会やインカレに出場させる気なんですか」

「当たり前だ。最終的には箱根駅伝に出るんだから」

「きっといやな思いをしますよ。いろいろ言われて」

「なぜ?」

  清瀬が穏やかな口調で尋ねた。走は、ニラの首まわりの肉を揉んでいる清瀬の横顔を見

た。

「ハイジさん、知ってるんですよね?  聞いたことあるでしょう、俺の高校時代の評判

を」

「きみの走りがとても速いってことか」

「それはいいほうの評判。俺が言ってるのは……」

「走」

  清瀬は走の言葉をさえぎった。「いいか、過去や評判が走るんじゃない。いまのきみ自

身が走るんだ。惑わされるな。振り向くな。もっと強くなれ」

  いてて、と言いながら、清瀬は膝をのばして立ちあがった。走とニラは、清瀬を見上げ

た。清瀬の頭上で、春の星座が貴い王冠のように輝いていた。

「強く……?」

  と走は尋ねた。

「きみを信じる」

  と清瀬は微笑み、また砂利を踏んで竹青荘に戻っていった。

  ニラの背を掌でさすってやりながら、走はしばらく考えた。いままで走に、もっと速く

なれと言ったひとは大勢いた。だが、強くなれと言われたのははじめてだ。強くなると

は、どういうことだろう。

  よくわからない。でも清瀬は、走を信じると言った。

  ずっと凍りついたままだった胸に、小さな火が灯ったのを感じる。それは走のなかでい

つも渦巻いている暴力の奔ほん流りゆうをせき止め、走を暗い場所へ駆り立てる誘惑の声

を遠ざける。清瀬の言葉は、静かな力に満ちていた。走のなかの怖れと怯えを吹き払うか

のように。

「よし」

  つぶやいて、走も立った。どうせ、細かいことを考えるのは苦手なのだ。だったら、た

だ走ればいい。いやなやつに会おうとも、いやな思いをしようとも、気にせずに走るだけ

だ。走にできることはそれしかない。

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