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六、魂が叫ぶ声(1)

时间: 2025-06-27    进入日语论坛
核心提示:六、魂が叫ぶ声欠けた茶碗を廊下の隅に置いた。水滴が手の甲に当たる。茶碗の位置を微調整し、走かけるは立って二階の廊下を見渡
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六、魂が叫ぶ声

  欠けた茶碗を廊下の隅に置いた。水滴が手の甲に当たる。茶碗の位置を微調整し、走か

けるは立って二階の廊下を見渡した。

  廊下のあちこちに、丼やらヤカンやらがまじないみたいに置かれている。走は定期的に

竹青荘内を巡回して、器に溜まった雨水を、大きなバケツに回収する当番だった。

  表では静かに降りつづく秋の長雨も、竹青荘のなかではにぎやかな不協和音に変わる。

貧乏って不便なものだなと、バケツに集めた水を庭に捨てながら、走はため息をついた。

「なんとかならねえのか、この音は!」

  ニコチャンは髪の毛をかきむしった。「自分の部屋にいても、エンドレスで一晩じゅう

聞こえてくんだよ、いまいましいピチャピチャポットンが!」

「俺たち二階の住人は、もう慣れたけどなあ」

  とジョータが言う。ユキは眼鏡を拭きながら、ふんと鼻を鳴らした。

「ニコチャン先輩は、音に対する感性がにぶいんじゃないですか。雨だれの音には風情が

ある。ときどき斬新なリズムを刻んで、おやと思わされるな」

  雨だれじゃなく、雨漏りの音だけど、と走は思ったが、もちろんなにも言わないでお

く。

「さて、いよいよ予選会も近づいてきたが」

  老朽化した建物を嘆く声など無視して、清瀬が話しはじめた。

  竹青荘の住人たちは、清瀬の号令のもと、双子の部屋に集まっていた。その日の練習を

終え、さっそく輪になって飲み会に突入した面々は、いちおう顔だけは清瀬のほうへ向け

る。

「夏合宿で頑張った甲斐あって、みんな確実に力をつけてきている。走」

「はい」

  と走は、手もとの記録用紙を読みあげる。「いまの段階での、一万メートルのベストタ

イムは、以下のとおりです。

  ハイジさん      二十九分十四秒

  ムサさん        二十九分三十五秒

  ジョータ        二十九分五十五秒二六

  ジョージ        二十九分五十五秒二八

  ユキ先輩        三十分二十六秒六三

  神童さん        三十分二十七秒六四

  ニコチャン先輩  三十分四十八秒三七

  キングさん      三十一分十一秒〇二

  王子さん        三十五分三十八秒四二

  そして俺が、    二十八分五十八秒五九」

  目を閉じて数字の羅列を聞いていた清瀬が、ひとつうなずく。

「すばらしい進歩だ。きみたちがこんなに走れるようになって、俺もうれしい」

「俺は今年の夏、地獄に堕ちたらどんな目に遭うのかを知ったよ」

  とジョータ。

「あれだけ練習させられれば、そりゃ少しは走れるようになるよね」

  とジョージ。

  全員の顔を見まわし、清瀬は言った。

「予選会までのあと一カ月弱で、おおかたのものは、一万メートルのタイムをまだ縮めら

れるはずだ。二十キロを走ることにも、体が慣れてきたようだし。一部に例外もいる

が……」

  王子がびくりと肩を揺らした。王子は十五キロを過ぎるとへばってしまって、タイムが

ますます落ちる。清瀬はしかし、王子を責めるようなことはしなかった。

「まあ、大丈夫だ。スタミナはだんだんついてきている。この調子でいけば、予選会を戦

える。故障にだけは気をつけて、これからも頑張ろう」

「頑張ろう!」

  ほどほどにね、とジョージが小声でつけくわえ、走とコップを打ちつけあった。

  地酒をあおった神童が、

「そういえば、取材の申し込みがきているんだよ」

  と言った。

「うっそ、すごいや!」

「どこから?  また新聞?」

  双子がはしゃいで、神童に尋ねる。

  竹青荘の面々は、夏合宿中に白樺湖で、読売新聞社の取材を受けた。

  陸上競技の専門雑誌の記者が、東体大の合宿を見に、白樺湖へやってきた。東体大は、

前回の箱根駅伝で惜しいところでシード落ちしていたから、今回は予選会からの挑戦だ。

しかし、選手の実力は安定しているので、予選通過はまずまちがいない。それで雑誌記者

は、東体大を事前取材しにきたのだった。

  竹青荘の面々は、練習後に湖畔のコンビニエンスストアで買い物をしていて、取材を受

ける東体大の選手たちを目撃した。東体大生たちは駐車場に並び、記者に集合写真を撮ら

れていた。写真撮影が終わると、今度はキャプテンがレコーダーを向けられ、なにかコメ

ントしている。

  記者がカメラマン役もこなしていたし、コメントするキャプテンもジャージ姿だった

が、キングは「芸能人みたいだなあ」と言って、その場から動かなくなった。走もキング

につきあって、取材風景をぼんやりと見物した。

  やがて東体大の選手は解散し、記者はキャプテンに礼を言って、一人でこちらに歩いて

きた。レジ袋を持って駐車場の隅に突っ立っている走たちに気づき、中年の男性記者は

「あれ」と言った。

「きみたちも、長距離の選手だろう」

「わかるんですか?」

  と、ジョータがまんざらでもなさそうに返した。

「体型を見ればわかるよ。でも、東体大の学生さんじゃないよね」

  記者は怪訝そうに、統一感のないTシャツを眺めた。

「寛政大の陸上部です」

  と、キングが早くも緊張気味に答える。

「俺たちも箱根駅伝に出るんですよ」

  ジョージは無邪気だ。すでに決定事項であるかのように、にこにこと記者に笑いかけ

た。

  走は、ニコチャンの背後に隠れるようにして立っていた。ジョージの発言に、きっと記

者は笑うだろうと思った。いままで予選会にすら出たことのない大学が、寝ぼけたことを

言っている、と。だが、予想ははずれた。

「へえ」

  記者は真剣な目で竹青荘の住人たちを順繰りに眺め、「それは楽しみだ」と言ったの

だ。

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