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六、魂が叫ぶ声(4)

时间: 2025-06-27    进入日语论坛
核心提示:合宿の最終日に、東体大もハイキングコースに来たのだ。走たちはすでにクロスカントリーを終え、クールダウンをしているところだ
(单词翻译:双击或拖选)

  合宿の最終日に、東体大もハイキングコースに来たのだ。走たちはすでにクロスカント

リーを終え、クールダウンをしているところだったので、喧嘩にはならなかった。東体大

としては、喧嘩どころではなかったということもある。上級生たちは寛政大など端はなか

ら目に入っていないし、一年生たちは萎縮した小型犬のように従順に、練習に集中してい

た。

  なにしろ、鬼監督の目が光っているのだ。

「軍隊みたいな練習ぶりでしたね」

「鬼監督が名言を怒鳴りちらしてたでしょ。なんだっけ」

「『暑いのが価値だと思え!』とか、『走りとはすなわちサバイバルだ!』とか」

  そうそう、と竹青荘の台所は笑い声であふれた。

「あんなのが監督だったら、とっくに逃げてるよ僕は」

  と王子は顔をしかめ、

「どこの大学の陸上部も、ああいう感じなのですか?」

  とムサが尋ねた。

「中学のときの監督は、似たようなタイプだったな」

  とニコチャンは言った。「オールバックのやつは怖えんだよ」

「どんな統計なんですか、それ」

  ユキは冷ややかな反応を見せる。

「たいがいの大学は、選手の自主性を重んじていると思うが」

  アルバムから視線を上げ、清瀬が答えた。「東体大みたいなところも、ほかにもあるこ

とはある」

「運動部の、そこがいやだ」

  王子は首を振った。「上下関係にうるさくて、監督の言うことには絶対服従で。奴隷

じゃないのにさ」

「そうしないと、だらけて統率が取れなくなる、と考えるひともいるんだよ」

  と神童が言った。「高校時代も、強い運動部ってたいがい規律が厳しかったよね」

「難しいところだなあ」

  と、キングが豚肉の最後の一枚を取った。「厳しくしないと、試合に勝てない。でも、

楽しくなかったら、スポーツをしようなんて思わない。どうすりゃいいわけ」

「ばかげてます」

  と、走は低く吐き捨てた。「厳しくなきゃ走らないやつも、楽しくなきゃ走れないやつ

も、走るのなんてやめればいい」

  また極端なこと言って、とジョージが走をたしなめる。

「ハイジさんは、どう思ってるの?」

  とジョータが聞いた。

「厳しいほうがいいと思っていたら、もっときみたちの手た綱づなを締めるはずだろ」

  と清瀬は言った。黙って会話を聞いていた葉菜子が、ちょっと笑った。

「ハイジの恥ずかしい写真発見」

  ユキがアルバムの最後のページを示す。合宿最終日の夜に、みんなで湖畔に出て花火を

したときのものだ。

  ニラは音におびえてパニックになり、しゃがんで線香花火に火をつけようとしていた清

瀬によじのぼった。ニラに正面から飛びかかられ、顔に貼りついたニラをはがそうとする

もかなわず、後ろにひっくり返った清瀬の姿を、三枚にわたる写真が克明に記録してい

る。清瀬は顔を赤らめた。

「なんでそれが、ユキのアルバムにも入ってるんだ」

「おもしろいから、みなさんのアルバムに入れておきました」

  葉菜子はしれっとして言った。双子がそろって該当ページを清瀬に掲げてみせ、にこに

こした。

「明日から、軍隊なみの練習に変える」

  と清瀬は言った。

  八百勝に帰る葉菜子を、竹青荘の玄関先で見送った。

「もう遅いですから、お送りしたほうがいいでしょう」

  ムサの言葉に、神童がうなずいて双子を見た。双子は気づかず、自分たちもただうなず

いているだけだ。しかたがないので、ニコチャンが「双子、行け」とうながした。

  ジョータとジョージはきょとんとしてから、

「うん、いいよ」

「じゃ、行こっか葉菜ちゃん」

  と、葉菜子をあいだにして歩きだす。

「やれやれだ」

「なんなのかねえ、あのにぶさは」

  ほかのものはぶつくさ言いながら、部屋に戻っていった。一番最後まで表に残っていた

走を、清瀬が振り返る。

「いいのか?」

「だから、なにがですか」

「いやべつに」

  清瀬は笑いを引っこめた。「走、俺は甘いか」

  質問の意味がわからず、走は靴を脱ぐ動作を止めて、清瀬を見上げた。廊下の明かりが

逆光になって、清瀬の表情は影に沈んでいる。

「きみはわかってるだろう。予選を通過できるかどうか、本当は微妙なところだ。みんな

をもっと走らせるべきだったか?  規律で縛りつけてでも……」

「そんなこと思ってないくせに」

  清瀬の言葉をさえぎり、走は廊下に上がった。壁にもたれて、すぐそばにある清瀬の横

顔を観察する。

「あんたは、軍隊みたいなやりかたを嫌ってる。いくら強制したって、ひとを走らせるこ

となんかできないと思ってる。ちがいますか、ハイジさん」

「そうだ」

  清瀬は一瞬うつむき、それから走を見て微笑んだ。「すまない、ちょっと弱気になっ

た」

「まだ時間はあります。みんな必ず、もっとタイムを縮めるはずだ。予選を通過できます

よ」

  励ましながら走は、めずらしいなと思った。いつも飄ひよう々ひようと、しかし確信に

満ちて、目標に向かっていくようなひとなのに。そんな清瀬が、揺らぐ部分を見せるのは

はじめてのことだ。夕飯のときの会話が原因だろうけれど、清瀬がいまさらどこに引っか

かりを感じたのかは、わからなかった。

「俺は」

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