田子の浦に うちいでてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ
山部赤人
【歌意】 田子の浦の海辺に出て仰ぎ見ると、真っ白な富士山の高い峰。そこには今も雪が降っているんだな。
【作者】 (やまべのあかひと) 元正、聖武期の宮廷歌人。
【説明】 「白妙の」は「富士」にかかる枕詞。『万葉集』には「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高値に雪は降りける」(巻三?三一八)とある。近景の具体的な描写がないのに対して、遠景の富士山頂の姿が鮮明に映像化されており、古来、叙景歌の絶唱として人口に膾炙し、赤人作中の傑作とされる。