ももしきや 古き軒端(のきば)の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり
順徳院
【歌意】 宮中の古びた軒端に生えている忍ぶ草を見ていると、栄えた昔が偲ばれる。しかし、どれほど懐かしく思ったとしても、昔の朝廷の栄華を思い尽くすことはできない。
【作者】 (じゅんとくいん) 1197~1242年。承久の乱により佐渡に流され、その地で崩御。
【説明】 順徳天皇21歳のときの詠作。この5年後に承久の乱で鎌倉方に敗れ、佐渡に流された。「しのぶ」は「偲ぶ」と「忍ぶ草」の掛詞。宮中の古い建物に生えている忍ぶ草が象徴するのは、皇室の権威の衰退。過去の繁栄ぶりとの隔たりが大きすぎて、想像さえおぼつかないという。