かささぎの 渡せる橋におく霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
中納言家持
【歌意】 かささぎがかけるという天の川の橋。その橋にたとえられる宮中の御橋に霜が降り、白く輝いているのを見ると?夜もすっかり更けてきたようだ。
【作者】 (ちゅうなごんやかもち) 718?~785年 大伴家持。旅人の長男。万葉末期の代表的歌人。『万葉集』の編纂に関係。
【説明】 厳冬の夜の寒さを、宮中の御階(みはし=階段)に降りた霜の白さによって表現した歌。「かささぎ」はカラス科の鳥で、中国の七夕伝説では、翼を連ねて橋となり、天の川にかかって織女が牽牛のもとへ渡るとされていた。