陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
河原左大臣
【歌意】 陸奥のしのぶもじずりの乱れ模様のように、私の心は忍ぶ恋に乱れております?いったい誰のためにそうなってしまったのでしょう、私のせいではありません。
【作者】 (かわらのさだいじん) 822~895年 源融(みなもとのとおる)。嵯峨天皇の皇子。
【説明】 「そめ」は「染め」と「初め」の掛詞。「陸奥のしのぶもぢずり」の乱れ模様に、動揺する恋心を託した歌。この歌は『伊勢物語』の初段にあり、元服直後の若い男が奈良の春日の里で、美しい姉妹を偶然見たときの気持ちを語る歌となっている。