立ち別れ いなばの山の峰に生(お)ふる まつとし聞かば いま帰り来む
中納言行平
【歌意】 今あなたと別れて因幡の国に行ったとしても、稲葉山の峰に生えている松の言葉ではないが、あなたが待つと聞いたら、すぐにも帰ってくるよ。
【作者】 (ちゅうなごんゆきひら) 818~893年 在原行平(ありわらのゆきひら)。業平の兄。
【説明】 「いなば」は「往なば」と「因幡」の掛詞?「まつ」は「松」と「待つ」の掛詞。作者が因幡国(鳥取県)の地方官として赴任する際に、都の人々と別れを惜しんで詠んだ歌。