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忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の惜しくもあるかな
右 近
【歌意】 あなたに忘れられてしまう私の身は何とも思いません?しかし、神に愛を誓ったあなたが、神罰を受けて命を落してしまわないか、それが気がかりなのです。
【作者】 (うこん) 10世紀前半期の人。右近少将?藤原季縄(ふじわらのすえなわ)の娘。醍醐天皇の皇后?穏子(おんし)に仕えた。
【説明】 永遠の愛を神に誓った相手が裏切った。それは神への裏切りでもあり、相手の男は神罰をこうむって命を落すかもしれない。その相手の死を惜しむとともに、諦めたはずの恋への執着がこみあげている。