このホジャおじさんが、ある日、市場でズボンを買いました。
ところがお金を払いかけて、ふと考え直しました。
「わしのズボンは、それほど古くはないぞ、まだだいぶもちそうだから、ズボンのかわりに上着を買うことにしよう」
そこでホジャおじさんはズボンを返すと、かわりに上着をもらいました。
そして、スタスタと店を出て行ったのです。
それに気づいた洋服屋は、あわてて言いました。
「だんな! まだ代金をいただいておりませんが」
「代金だって? ほら、上着のかわりに、そのズボンを返しただろうが」
「そりゃ、そうだが。このズボンの代金を、まだいただいておりませんので」
「何! 買ってもいないズボンの代金まで、払わせようというのか!」
「いや、だからですね」
洋服屋さんは、説明にとても困ったそうです。