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赤土へくる子供たち(6)

时间: 2022-09-13    进入日语论坛
核心提示:六 赤土(あかつち)の原(はら)には、だれもあそんでいませんでした。茶色(ちゃいろ)の犬(いぬ)をつれた男(おとこ)の人(ひと)は、
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六


 赤土(あかつち)の原(はら)には、だれもあそんでいませんでした。茶色(ちゃいろ)の犬(いぬ)をつれた男(おとこ)の人(ひと)は、ボールを出(だ)すと、力(ちから)いっぱい、これを遠(とお)くへ向(む)かって投(な)げました。ボールは、青(あお)い空(そら)へ上(あ)がって、それから下(した)へ落(お)ちました。
「よし。」と、いうと、犬(いぬ)は、かけ出(だ)していきました。
「おじさん、犬(いぬ)の名(な)は、なんというの。」と、武夫(たけお)が聞(き)きました。
「ジョンです。あれで、まじりけのないシェパードではありませんよ。」と、おじさんは、答(こた)えました。
「いい犬(いぬ)ですね。」と、善吉(ぜんきち)が、感心(かんしん)しました。ジョンは、ボールをくわえてきました。
「訓練(くんれん)ひとつですね、いい犬(いぬ)にするには、なかなかほねがおれます。」
 ジョンは、ボールを主人(しゅじん)の前(まえ)へおこうとすると、
「こら!」と、おじさんはしかって、手(て)に持(も)っているむちでジョンをたたこうとしました。ジョンは、すぐ気(き)がついて、右(みぎ)から左(ひだり)へぐるりと、おじさんの足(あし)もとをまわって、ボールをおきました。「よし。」と、おじさんは、犬(いぬ)の頭(あたま)をなでてやりました。それから、おじさんは、犬(いぬ)をそこに待(ま)たしておいて、自分(じぶん)だけ、あちらへかけていきました。やがて、おじさんの姿(すがた)は、草(くさ)むらのしげった中(なか)へ、かくれてしまいました。じっと、そっちを見(み)ながら、すわっていたジョンは、主人(しゅじん)の姿(すがた)を見(み)えなくなると、さびしくなったのか、クン、クン、といって、おじさんをこいしがりました。善吉(ぜんきち)も、武夫(たけお)も、忠実(ちゅうじつ)な犬(いぬ)が、かわいくなりました。
 おじさんは、ちがった方角(ほうがく)から、姿(すがた)をあらわして、もどってきました。
「よし。」と、命令(めいれい)すると、ジョンは、すぐに主人(しゅじん)のいった足(あし)あとをさがして、ボールを取(と)りにいきました。
「おじさん、まりをかくしてきたの?」
「土(つち)へうめてきたが、ちょっと見(み)つからないでしょう。」と、いって、おじさんは、笑(わら)っていました。
 いつまでたっても、ジョンは、かえってきませんでした。見(み)つからないのです。そのうちに、ジョンは、しおしおとして、なにもくわえずにもどってきました。これを見(み)ると、おじさんは、こわい顔(かお)をして、犬(いぬ)をにらみました。そして、手(て)を上(あ)げて、
「だめ!」と、どなりました。ジョンは、また、さがしに、あちらへ走(はし)っていきました。
「かわいそうだな、見(み)つからないんだよ。」と、武夫(たけお)は、犬(いぬ)に同情(どうじょう)しました。
 そのとき、少年(しょうねん)が、きっきの白(しろ)い犬(いぬ)をつれてさんぽにやってきました。そして、みんなのいるところへきました。
「ポインターのかわりですね。」と、おじさんは、白(しろ)い犬(いぬ)の頭(あたま)をなでました。犬(いぬ)は、おとなしくしていました。おじさんは、よく犬(いぬ)の種類(しゅるい)を知(し)っています。また、どの犬(いぬ)もかわいがりました。犬(いぬ)もまた、かわいがる人(ひと)をよく知(し)っているようです。
 ジョンは、やっとボールを見(み)つけて、うれしそうに、くわえて走(はし)ってきました。おじさんも、喜(よろこ)んで、ジョンのそばへくるのを待(ま)って、犬(いぬ)が、ぐるりとまわって、前(まえ)へボールをおくと、だくようにして頭(あたま)をなでてやりました。
「おりこうですね。」と少年(しょうねん)が、これを見(み)て、いいました。
「ふせ!」と、おじさんが、いうと、ジョンは、地(ち)の上(うえ)へはらばいになりました。
「伏進(ふくしん)!」
 ジョンは、はらばいになりながら進(すす)みました。これを見(み)ていた武夫(たけお)は、善吉(ぜんきち)に向(む)かって、
「戦争(せんそう)にいって、敵(てき)に見(み)つからないようにして、進(すす)むんだね。」と、ささやきました。
 白(しろ)い犬(いぬ)も、おとなしくして、ジョンのするのを見(み)ていました。すると、少年(しょうねん)は、
「ごらんよ、おまえも、あんなことできるかい。」と、自分(じぶん)のほおを、犬(いぬ)の顔(かお)におしつけました。おじさんは、見(み)て、笑(わら)っていました。
「なにもおしえないのですか。」
「この犬(いぬ)は、ぼうきれを投(な)げると、くわえてくるぐらいのものです。」
「その犬(いぬ)は、猟犬(りょうけん)ですね。」
「だから、にわとりや、ねこを見(み)ると、追(お)いかけて、しかたがないんですよ。」と、少年(しょうねん)は、いいました。そのうちに、少年(しょうねん)は、犬(いぬ)をつれて、あちらへいってしまいました。
 おじさんも、一(ひと)とおりの茶色(ちゃいろ)の犬(いぬ)の訓練(くんれん)がすむと、善吉(ぜんきち)と武夫(たけお)に向(む)かって、
「さようなら。」と、いって、ジョンをつれて、お家(うち)へかえっていきました。
「ああ、きょうは、かえりがおそくなったね。ぼくお家(うち)へかえって、きっと、おかあさんにしかられるだろう。」と、武夫(たけお)は、しんぱいしました。
「復習(ふくしゅう)があったと、いえばいいだろう。」
 善吉(ぜんきち)は、うそをいって、わるいと思(おも)ったが、そういうことに、きめていました。
「ぼくは、原(はら)っぱで、犬(いぬ)のおけいこを見(み)てきたと、いおうかしら。」と、善吉(ぜんきち)が、いいました。
「残(のこ)されたといわなけりゃ、どっちだっておんなじじゃないか。」

 日(ひ)にまし涼(すず)しくなりました。原(はら)っぱに立(た)って、だまって空(そら)をみあげながら、鳴(な)き声(ごえ)のした方(ほう)に目(め)をそらすと、黒(くろ)く小(ちい)さく、群(む)れをなして、渡(わた)り鳥(どり)の飛(と)んでいくのが見(み)られました。
 ワン、ワン、犬(いぬ)が、ほえています。その方(ほう)を見(み)ると、いつかおじさんのつれてきた、ジョンでした。
「ジョン、ジョン。」と、善吉(ぜんきち)が、呼(よ)びました。ジョンはかけてきました。そばには、武夫(たけお)のほかに信(しん)一もいました。
「どこの犬(いね)なの?」
 信(しん)一が、ききました。
「いつかどこかのおじさんがつれてきた犬(いぬ)だよ。」と、武夫(たけお)は、あたりにおじさんがいないかと見(み)まわしました。どうしたのか、おじさんの姿(すがた)が見(み)えません。
「ジョン、どうしたんだい? ひとりかい。」と、善吉(ぜんきち)が、いうと、ジョンは、喜(よろこ)んでとびつきました。
「きっと、道(みち)をまぐれたんだよ。」
「ぼくたち、どっかへかくれよう、そうしたら、ジョンは、どうするだろうか。」と、武夫(たけお)が、いいました。

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