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子供と馬の話(2)

时间: 2022-11-01    进入日语论坛
核心提示: やがて、その人ひとたちは、厚あつくお礼れいをいって、また道みちを歩あるいてゆきました。「あんなような子供こどもがあって
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 やがて、その人ひとたちは、厚あつくお礼れいをいって、また道みちを歩あるいてゆきました。
「あんなような子供こどもがあっては、汽車きしゃに乗のるのが、どんなに骨ほねおりだかしれません。」
彼かれらの去さった後あとで、みんなは、その人ひとたちの停車場ていしゃばに着ついてから先さきのことなどを想像そうぞうして同情どうじょうしたのでありました。
昼ひるから、夜よるとなく、つづいた避難ひなんする人ひとたちの群むれも、さすがに、真夜中まよなかになると、いずれも、どこかに宿やどるものとみえて、往来おうらいがちょっとの間あいだはとだえるのでした。
空そらを仰あおぎますと天あまの川がわが、下界げかいのことを知しらぬ顔かおに、昔むかしながらのままで、ほのぼのと白しろう流ながれているのでありました。
「もう、何時なんじごろでしょうか。」
「二時じをすこし過すぎました。」
あたりは、しんとしていました。このとき、あちらから、山やまなりに荷物にもつを積つんで、荷馬車にばしゃがやってきました。
その荷車にぐるまを引ひいているのは、白しろい馬うまでありました。そして、先さきに立たって、手綱たづなを引ひいている男おとこは、体からだのがっしりした大男おおおとこでありました。馬うまも、男おとこも、だいぶ疲つかれているように見みえたのであります。
太郎たろうのお父とうさんは、これを見みて、
「どこからきたのですか、よほど、遠とおいところからきなされたとみえますね。」と、やさしく声こえをかけられました。
ゴト、ゴトと重おもい荷車にぐるまを馬うまに引ひかせてきた男おとこは、手綱たづなをゆるめて立たち止どまりました。
「横浜よこはまから、今日きょうの昼ひるごろ出でかけてまいりました。これから、もう一里りも先さきへゆかなければなりません。馬うまもだいぶ疲つかれています。」と答こたえました。
「そうとも、ここから横浜よこはままでは、十里りあまりもありますからね。」
「六郷川ごうがわの仮橋かりばしを渡わたってきなすったのですね。」
「ええ、そうです。また、この荷物にもつを下おろして、すぐに、今夜こんやのうちに帰かえるつもりです。」と、馬うまを引ひいてきた男おとこはいいました。
「また、遠とおい道みちを帰かえるのですか。」
「あすの晩方ばんがたに、あちらへ着つきます。そして、あさっては一日にち馬うまを休やすめます。」と、男おとこは、答こたえました。
夜警やけいの人々ひとびとは、この話はなしを聞きいて、人間にんげんも、馬うまも、どんなに疲つかれることだろうと思おもいました。
こんなことは、平常ふだん多おおくあることでありません。汽車きしゃが通とおっていれば、汽車きしゃで運搬うんぱんされるのです。こうした、変事へんじがあったときは、みんなが助たすけ合あったり、骨ほねをおらなければならないのであります。
男おとこは、また、手綱たづなを引ひいて、ゆこうとしました。すると、馬うまは、もうだいぶ疲つかれているものとみえて、じっとして、歩あるこうといたしませんでした。もっとこうして、休やすんでいたいと思おもったのでありましょう。
しかし、いつまでも、男おとこはそうしていることができないのを知しっています。休やすめば、休やすむほど、疲つかれは出でてきて、だんだん歩あるけなくなるものだからです。
「ど、ど、さあ、歩あるくだ。」と男おとこは、馬うまを心こころからいたわるように、やさしくいいました。
このとき、男おとこは、けっして、馬うまをしからなかったのでした。ひとり人間にんげんだけではなく、馬うまでも、牛うしでも、感情かんじょうを解かいするものは、しかるよりは、やさしくしたほうが、いうことをきくものです。
馬うまは、また、重おもい荷車にぐるまを引ひいて歩あるいてゆきました。
「こんなときは、馬うまもなかなか骨ほねおりだ。」と、そのとき、太郎たろうのお父とうさんといっしょに夜警やけいをしていた人ひとたちは感かんじたのであります。
翌日よくじつのことでした。太郎たろうと二郎じろうとが、またちょっとしたことから、けんかをはじめましたときに、お父とうさんは、昨夜ゆうべ見みた、あわれな子供こどもらや遠とおいところから歩あるいてきた馬うまの話はなしを二人ふたりにしてきかされました。
「かわいそうな人ひとたちのことを思おもったら、けんかどころではないだろう。」と、いわれましたときに、二人ふたりは、ほんとうに感心かんしんをいたしました。
太郎たろうと二郎じろうは、自分じぶんのいままで読よんでしまって重かさねておいた雑誌ざっしや、書物しょもつや、またおもちゃなどを不幸ふこうな子供こどもたちにあげたいとお父とうさんに申もうしました。
「それは、いい考かんがえだ。」とお父とうさんはうなずかれました。そして、二人ふたりは、またお父とうさんに向むかって、
「白しろいお馬うまは、もうお家うちへ帰かえったでしょうか。」と兄弟きょうだいは、一日にちの間あいだに幾いくたびも思おもい出だしては、聞きいていたのでありました。
 
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