返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

谷間のしじゅうから(1)

时间: 2022-11-19    进入日语论坛
核心提示:谷間のしじゅうから小川未明春はるのころ、一度どこの谷間たにまを訪おとずれたことのあるしじゅうからは、やがて涼風すずかぜの
(单词翻译:双击或拖选)

谷間のしじゅうから

小川未明


春はるのころ、一度どこの谷間たにまを訪おとずれたことのあるしじゅうからは、やがて涼風すずかぜのたとうとする今日きょう、谷川たにがわの岸きしにあった同おなじ石いしの上うえに降おりて、なつかしそうに、あたりの景色けしきをながめていたのであります。
小鳥ことりたちにとって、この二、三か月げつの間あいだは、かなり長ながい間あいだのことでありました。そのときは、やっと雪ゆきの消きえたばかりで、見みるものがすべて希望きぼうに燃もえ立たっていきいきとしていました。しじゅうからは、葉はのしげったかしの木きを見みつけて、巣すをかけようかと、友ともだちと枝えだの間あいだを飛とびまわっていました。日光にっこうの射さしぐあいなどをしらべなければならなかったからです。
すると、かしの木きは、不平ふへいらしい顔かおつきをして、
「承諾しょうだくなしに、私わたしの枝えだへ巣すをかけてはいけません。」といいました。
それは、無理むりのない言いい分ぶんでありました。しじゅうからは、つい断ことわるのを忘わすれてしまったのです。なぜなら、巣すをかけることは鳥とりたちにとって、あたりまえのことで、わるいことと思おもっていなかったからでした。
「ごめんください。どうぞ私わたしに、小ちいさな枝えだを貸かしてくださいませんか?」と、頼たのみました。
「昨日きのうも、美うつくしいこまどりがきて、いろいろ頼たのんだのですけれど、どうも鳥とりに巣すをかけさせると葉はを汚よごして、いやになるから許ゆるさなかったのですよ。いっそすずめばちにでも貸かしてやったら、いたずら者ものが寄よりつかなくていいかと思おもっているのです。」と、ごうまんないい方かたをして、かしの木きは、答こたえました。
「あの、すごい剣けんを持もっているすずめばちにですか?」
「そうですよ。」
ちょうど、このとき、人ひとの声こえがしたので、しじゅうからは、驚おどろいて下したを見みると、細ほそい道みちを草くさを分わけながら、おじいさんが、子供こどもをつれて、まきを背負せおって、ふもとの方ほうへ下くだっていくところでした。
「ああ、ここに、こんな人ひとの通とおり道みちがあったのか? あの臆病おくびょうな、注意深ちゅういぶかいこまどりが、なんで頼たのんでも、こんなところへ巣すをかけよう。」
ししじゅうからは、この威張いばっているかしの木きが、いいかげんなことをいっていると知しりましたので、自分じぶんもここへ巣すをかけるのは考かんがえ物ものだと思おもって、他たの木きへと移うつっていきました。
彼かれの止とまった、とちのきは、みごとな白しろい花はなを開ひらいたばかりでした。
「しじゅうからさん、私わたしの花はなと、あすこに咲さいているうつぎの花はなと、どちらがきれいでしょう?」と、とちのきは、しじゅうからに向むかって、ききました。
「さあ、あなたは、白しろい花はなですし、あちらは紅あかい色いろですね。どちらもみごとではありませんか?」
しじゅうからは、なぜとちのきが、こんなつまらない問といを出だしたのかと疑うたがわずにはいられなかったのです。
「いえ、昨日きのうも旅たびの珍めずらしい鳥とりが、ここへやってきましたが、私わたしへは止とまらなかったので、私わたしは、悲かなしくてなりませんでした。」と、とちのきは、さも無念むねんそうに、大おおきな葉はをはたはたとふるわせていました。
「とちのきさん、あなたは、こんなに太ふといし、そして、高たかいではありませんか。きっと旅たびの鳥とりは、あの低ひくい木きを憐あわれと思おもって止とまったのですよ。」と、しじゅうからは、とちのきをなぐさめたのでありました。彼かれはかかる険けわしい谷間たにまの片かたすみにも、こうした悩なやみと争あらそいがあるのかと痛いたましく感かんじました。
そのつぎに、しじゅうからは、しらかばの枝えだへ移うつったのです。
若わかい、すらりとしたしらかばは、ちょうど更衣ころもがえをしているところでありました。
「そんなに私わたしを見みてはいけません。どうしてって、恥はずかしいのですもの。私わたしのお化粧けしょうが、すっかりできあがった時分じぶんに、もう一度どここへきて、私わたしを見みてくださいまし。」といいました。
「しらかばさん、その時分じぶん、私わたしたちは、どこにいるか知しれませんが、たとえ、やってこなくてもおこってはいけません。それは、けっしてあなたを忘わすれたのでなく、たぶんそのころは、いちばん私わたしたちの生活せいかつに忙いそがしいときだからです。そのかわり、このつぎ、こちらへきたときに、あなたがどんなに美うつくしくなっていられるか、見みるのが楽たのしみであります。」といいました。しじゅうからは、しらかばのうぬぼれが、むしろ、いじらしく思おもわれました。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: