返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

都会はぜいたくだ(1)

时间: 2022-11-27    进入日语论坛
核心提示:都会はぜいたくだ小川未明デパートの高たかい屋根やねの上うえに、赤あかい旗はたが、女おんなや子供こどものお客きゃくを呼よぶ
(单词翻译:双击或拖选)
 

都会はぜいたくだ

小川未明


デパートの高たかい屋根やねの上うえに、赤あかい旗はたが、女おんなや子供こどものお客きゃくを呼よぶように、ひらひらとなびいていました。おかねは、若わかい、美うつくしい奥おくさまのお伴ともをしてまいりました。
そこには、なんでもないものはありません。みるもの、すべてが、珍めずらしいものばかりでした。
東京とうきょうへ出でてきてから、奥おくさまにつれられて、方々ほうぼうを歩あるくたびに、田舎いなかのさびしいところで働はたらいて暮くらす、お友ともだちのことを思おもわぬことはなかったのです。
「おつねさんなんか、こんなにぎやかなところは知しらないのだ……。」と思おもうと、青々あおあおとした田圃たんぼの中なかに立たっている、友ともだちの姿すがたがありありと見みられました。
千円えん、二千円えんという札ふだのついた、ダイヤモンドの指輪ゆびわが、装飾品そうしょくひんの売うり場ばにならべてありました。それを見みただけでもびっくりしたのです。また、食料品しょくりょうひんを売うっている場所ばしょには、遠とおい西にしの国くにからも、南みなみの国くにからも名物めいぶつが集あつまっていました。そして、それにも高たかい値段ねだんがついていました。
「まあ、こんな高たかいものを、東京とうきょうには、食たべる人ひとがあるのだろうか?」と、疑うたがわれたのであります。
「おかねや、おまえの国くにの名物めいぶつには、どんなものがあって?」と、奥おくさまは、ふりかえって、聞きかれました。
おかねは、なんだろう? と思おもいました。小学校しょうがっこうにいる時分じぶん、地理ちりの時間じかんに、自分じぶんの国くにの名産めいさんをいろいろ教おしえられましたが、この東京とうきょうにまで出だされているような名物めいぶつは知しらなかったのでした。
「わかりません。」と、耳みみを赤あかくしながら、答こたえるよりほかなかったのです。
見みて歩あるくうちに、相模川さがみがわのあゆや、八郎潟ろうがたのふなまで、ならべられてありました。
「まあ、川魚かわうおまでが、方々ほうぼうから、汽車きしゃで送おくられてくるのかしらん。」
このとき、彼女かのじょの頭あたまに、弥吉やきちじいさんの顔かおが浮うかびました。じいさんは、川魚かわうおをとって生活せいかつしたのであります。どんな暗くらい雨あめの降ふる晩ばんも出でかけてゆきました。なんでも、青あおいかえるを針はりにつけて、どろ深ぶかい川かわで、なまずを釣つり、山やまから流ながれてくる早瀬はやせでは、あゆを釣つるのだという話はなしでした。
夏なつ、秋あき、冬ふゆ、ほとんどおじいさんの休やすむ日ひはありませんでした。ちょうど百姓しょうが米こめを作つくると同おなじように、また、職工しょっこうが器具きぐを造つくると同おなじように、魚うおをとるのも、一通ひととおりでない骨ほねおりでありました。心こころある人ひとなら、だれでもこのようにして作つくられた、食物しょくもつはむだにし、また器具きぐを粗末そまつに取とり扱あつかうことをよくないと思おもうでありましょう。
このおじいさんが、これほど、骨ほねをおって釣つり上あげた魚うおを、だれが、食たべるのだろうか? そう思おもったことに、無理むりはなかったのです。
なぜなら、雪ゆきの降ふる寒さむい晩ばんに、おじいさんは、出でかけてゆきました。村むらの子供こどもらは、窓まどの外そとで鳴なり叫さけぶあらしの音おとに耳みみを澄すまして、幾枚いくまいも蒲団ふとんをかぶっても、まだ震ふるえがちにちぢこまっているのに、おじいさんは出でかけなければなりませんでした。
川かわの上うえには雪ゆきが積つもっていました。そして、その下したの流ながれは、止とまっていました。おじいさんは雪ゆきを掘ほり氷こおりを破やぶると、その下したに、黒くろい水みずがものすごく、じっと見上みあげています。おじいさんは、カンテラの火ひで水みずの面おもてを照てらしました。これは、眠ねむっている魚うおを呼よび寄よせるためであります。
もう長ながい間あいだ、穴あなの中なかに、または、深ふかい水底みずそこに眠ねむって、春はるのくるのを待まっていた魚さかなたちは、ふいに明あかるくなったので、びっくりしました。
「なんだろうな。」
「月つきでないかしらん?」
「雪ゆきが積つもっているのに、月つきのさすはずがないじゃないか。」
「でも、明あかるく、なにか、水みずを照てらしているようだ。」
「それにちがいない。おれたちは、もう長ながい間あいだ眠ねむった。いつのまにか、雪ゆきが消きえて春はるになったのでないだろうか。」
「そんなことはない。まだ、水みずが、こんなに冷つめたい。そして、どこにも春はるらしい気分きぶんはこない。こんな変かわったことのあるときは、要心ようじんが必要ひつようなのだ。」
「どれ、出でかけて、みとどけてこよう。」
「それがいい。それがいい。」
魚さかなたちは、半分はんぶんおそれながら、ちらちら動うごく、カンテラの火ひの方ほうに近ちかづいたのです。火ひは赤あかい花はなが、風かぜに吹ふかれて、地面じめんをはいながら頭あたまを振ふるように、暗くらい水みずの面おもてにゆれていました。
「もう、だいぶ、魚さかなの寄よった時分じぶんだな。」
おじいさんは、手網てあみで、ふいにすくうこともあれば、また糸いとを垂たれて釣つることもありました。
おかねばかりでない。村むらの子供こどもたちも、大人おとなも、人ひとのいい弥吉やきちじいさんが、魚さかなをとる苦心くしんを知しらないものはありませんでした。それですから、おじいさんのとった魚さかなは、いくらうまくても、村むらのものは、もったいなくて食たべられない気きがしました。
おじいさんは、とった魚さかなは、ふなでも、なまずでも、またあゆでも、みんな町まちへ持もっていって売うったのであります。
「おじいさん、命いのちがけでとった寒かんぶなだ。いい値ねに売うれるだろう。」と、人ひとが聞ききますと、
「なんの、おかゆがすすられるだけのものです。」と答こたえて、頭あたまを振ふりました。
「だれが、おじいさんのとった、魚さかなを食たべるだろうか。」と、おじいさんに聞ききますと、
「さあ、だれが食たべるものか、そればかりは、わしにもわからない。」と、おじいさんは、答こたえたのでした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: