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時計とよっちゃん(3)

时间: 2022-11-27    进入日语论坛
核心提示:六よっちゃんは、また、お菓子かしをお母かあさんにねだりました。「ええ、あげますよ。いまたべたばかりだから、あの時計とけい
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六


よっちゃんは、また、お菓子かしをお母かあさんにねだりました。「ええ、あげますよ。いまたべたばかりだから、あの時計とけいの長ながい針はりが、ぐるりとまわって、まっすぐになったらあげますよ。」と、お母かあさんはいわれました。お母かあさんは、あっちにいって、茶ちゃわんを洗あらったり、おもてを掃はいたりしていられました。よっちゃんは、茶ちゃだんすの前まえに立たって、時計とけいを見上みあげていましたが、そのうちに、お母かあさんの針箱はりばこをひきずってまいりました。そしてその上うえに乗のって、かわいらしい指ゆびで時計とけいの長ながい針はりを動うごかしたのでした。「チョット、チョット。」と、時計とけいはいつもおなじことをいっていましたが、よっちゃんが、なにをしてもおこりはいたしませんでした。よっちゃんは、指ゆびに力ちからをいれて、うなりながら、長ながい針はりをぐるりとまわして、そして、まっすぐにいたしました。よっちゃんは、針箱はりばこからおりると、いそいでお母かあさんのいなさるところへ走はしってきました。「お菓子かし……ねえ、お母かあちゃん、お菓子かしくれない。」といいました。「まだ、長ながい針はりは、まわりませんよ。」と、お母かあさんはいわれました。「まわった、お母かあちゃん、針はりはまわったよ。」と、よっちゃんは、しきりにいいました。

七


「どれ、どこまで、長ながい針はりがいったか、見みましょうね。」と、お母かあさんは、よっちゃんが、しきりにいうので、家うちへ上あがって、茶ちゃだんすのところへやってきました。そして、時計とけいを見みてびっくりしました。
「まあ、おまえは、もうはや、こんなわるい、いたずらをするの?」と、お母かあさんはいって、よっちゃんを、抱だき上あげてしかりながらほおずりをしました。「もう何時なんじだか、時間じかんがわからなくなって、困こまるじゃないの。」と、お母かあさんはいって、外そとへ出でて、近所きんじょの家いえで、時間じかんを聞きいてきました。そして、時計とけいの針はりを直なおしました。「ねえ、お母かあちゃん、お菓子かしくれないの。」と、よっちゃんはねだりました。「こんな、悪わるいいたずらをする子こは、お母かあちゃんは、いや。」と、お母かあさんはいわれました。すると、よっちゃんは、悲かなしくなって、泣なき出だしました。「もう、これから、こんな、おいたをしなければあげますが、もうしない?」と、お母かあさんは聞ききますと、よっちゃんは、かわいらしい手てで、目めのあたりをこすりながら、うなずきました。よっちゃんは、お菓子かしをもらって、外そとへ小ちいさなげたをはいて、あそびに出でました。そして、いま、お母かあさんにしかられたことを、もう忘わすれていました。

八


晩方ばんがた、お父とうさんが、役所やくしょから帰かえってこられると、お母かあさんは、よっちゃんが、針箱はりばこをふみ台だいにして、時計とけいの長ながい針はりをまわした話はなしをいたしました。お父とうさんは、よっちゃんが、りこうだといって、笑わらわれました。そして、あの時計とけいも、はやくガラスをはめなければならんと、いわれました。しかし、時計屋とけいやへ直なおしにやると、あとでほかに時計とけいがないので不自由ふじゆうなものですから、一日にち、一日にち延のびてしまうのでありました。お母かあさんは、どこか、もっと高たかいところへ時計とけいを置おいたら、よっちゃんが、いたずらをしないと思おもいましたから、翌日よくじつは、たんすの上うえへ置おきました。
もう、よっちゃんは、針箱はりばこをふみだいにしても手てがとどきませんでした。また、着物きものをいれるたんすは、脊せが高たかいから、その前まえに立たってもよっちゃんは、円まるい白しろい時計とけいの顔かおを見みることさえできませんでした。よっちゃんは、どんなにさびしく思おもったでありましょう。けれど、時計とけいをそんな、高たかいところに載のせておくのは、お母かあさんにも、不便ふべんでありました。なぜならお母かあさんは、すわっていて、時間じかんを見みることができなかったからであります。いつのまにか、お母かあさんは、また、時計とけいを茶ちゃだんすの上うえへ持もってきました。よっちゃんは、また、円まるい白しろい顔かおをいままでのように見みることができるようになりました。
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