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なくなった人形(2)

时间: 2022-11-29    进入日语论坛
核心提示:やがてそこへ、おみよは白しろい菊きくの花はなを摘つんで帰かえってきますと、もう垣根かきねのそばには、乞食こじきの子この影
(单词翻译:双击或拖选)
 
やがてそこへ、おみよは白しろい菊きくの花はなを摘つんで帰かえってきますと、もう垣根かきねのそばには、乞食こじきの子この影かげが見みえませんでした。そしてござのところへきて、これからごちそうをこしらえて人形にんぎょうにやろうと思おもいますと、大切だいじの大切だいじの人形にんぎょうの姿すがたが、どこへいってしまったか見みえなかったのです。
おみよは大騒おおさわぎをしました。そして、どこへいったろうとあっちこっち探さがしていますと、そこへ近所きんじょのおばあさんが通とおりかかって、なにをそんなに、探さがしているのかと聞ききましたから、人形にんぎょうが見みえなくなったのだといいました。
「あ、そんなら、いまあちらへ、乞食こじきの子こが人形にんぎょうを抱だいて、頭あたまをなでたり、ものをいったりして、夢中むちゅうになっていったから、それじゃないか。」と、おばあさんは教おしえました。
おみよは、自分じぶんもそれに相違そういないと思おもいましたから、急いそいでその後あとを追おいましたけれど、もはやその姿すがたは見みえなかったのであります。
おみよは、どうしてもその人形にんぎょうのことを忘わすれることができませんでした。そして、あの哀あわれな乞食こじきの子こをうらめしく思おもいました。すると、おみよはその晩ばん、不思議ふしぎな夢ゆめを見みたのであります。
なんでも、そこは河辺かわべのような木きのしげった間あいだに、板いたや、竹たけを結むすびつけて、その上うえを草くさや、わらでふいた哀あわれな小屋こやの中なかに、七つか八つになった女おんなの子こが、すみの方ほうにぼろにくるまって、あの人形にんぎょうをたいせつに、しっかりと抱だいて眠ねむっていますと、寒さむい寒さむい星ほしの光ひかりが、小屋こやのすきまをもれてさしこんでいるのでありました。
目めが覚さめると、おみよはその乞食こじきの子こがかわいそうでなりませんでした。けれど、まだ彼女かのじょは、人形にんぎょうのことを思おもいきることができませんでした。明あくる日ひ、おみよは学校がっこうへいって先生せんせいに問とうたのであります。
「先生せんせい、どんな場合ばあいにでも、ものを盗ぬすむということは悪わるいことですか。」
「ものを盗ぬすむということは、いちばん悪わるいことです。」と、先生せんせいは目めを丸まるくしていいました。
「先生せんせい、もしたいせつなものを盗ぬすまれたときはどうします。」と、おみよは聞ききました。
「それは学校がっこうでですか、家うちでですか。」と、先生せんせいは問とい返かえしました。
「家うちでです。」
「巡査おまわりさんに届とどけて、その悪わるいことをした奴やつを縛しばってもらうんです。あなたは、なにか盗ぬすまれたんですか。」
「たいせつな人形にんぎょうを盗ぬすまれました。」
「人形にんぎょうを? だれが盗ぬすんだんです。」と、先生せんせいはおみよの顔かおを見守みまもりました。
「七つか八つになる乞食こじきの女おんなの子こです。」と、おみよは答こたえました。
「乞食こじきの子こ!」と、先生せんせいはいって、しばらく考かんがえていましたが、
「あなたは、巡査おまわりさんにいって縛しばったほうがいいか、また堪忍かんにんしてやったほうがいいか、どちらがいいと思おもいますか。」と、先生せんせいは、今度こんどは反対はんたいにおみよに問とい返かえしました。
「私わたしは堪忍かんにんしてやったほうがいいと思おもいます。」と、おみよは勇いさんでいいました。
「あなたは人情にんじょうのあるよい子こだ。そうです、そうしておやんなさい。」と、先生せんせいはいって、おみよの頭あたまをなでました。
不思議ふしぎにもおみよは、またその晩ばん、同おなじような夢ゆめを見みました。哀あわれな小屋こやの中なかに、七つか八つばかりの乞食こじきの子こがぼろにくるまって、しっかりと人形にんぎょうを抱だいて眠ねむっているところへ、寒さむい大空おおぞらの星ほしの光ひかりがさしこんでいるのでありました。
 
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