返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

なまずとあざみの話(1)

时间: 2022-11-29    进入日语论坛
核心提示:なまずとあざみの話小川未明春はるの川かわは、ゆるやかに流ながれていました。その面おもてに、日ひの光ひかりはあたって、深ふ
(单词翻译:双击或拖选)
 

なまずとあざみの話

小川未明


春はるの川かわは、ゆるやかに流ながれていました。その面おもてに、日ひの光ひかりはあたって、深ふかく、なみなみとあふれるばかりの、水みずの世界せかいが、うす青あおくすきとおって見みえるように思おもわれました。
この不思議ふしぎな殿堂でんどうの内うちには、いろいろの魚うおたちが、おもしろおかしく、ちょうど人間にんげんが地ちの上うえで生活せいかつするときのように、棲息せいそくしていたのであります。なかでも、小ちいさな子供こどもたちは、毎日まいにち群むれをなして、水面みずもへ浮うかび、太陽たいようの照てらす真下ましたを、縦横じゅうおうに、思おもいのままに、金色きんいろのさざなみを立たてて泳およいでいました。そして晩方ばんがた、岸きしの暗くらいすみの巣すのあるところへ帰かえってくると、自分じぶんの親おやたちや、またほかの魚うおたちに、見みてきたいろいろのことを物語ものがたったのでした。
「大おおきな船ふねがいったぞ。そのときは、おれたちは、波なみの中なかへ巻まきこまれようとした。やっと急いそいでほどへだたった、安全あんぜんな場所ばしょへ避さけることができた。船ふねの上うえでは、ほおかむりをした男おとこが、たばこをすっていた。」
「あちらの岸きしの方ほうには、人間にんげんが、いくたりも長ながいさおをもっていったりきたりしていた。お父とうさんや、お母かあさんたちも、気きをつけんければならん……。」
あかあかと水みずの上うえをいろどって、夕日ゆうひは沈しずみました。水みずの中なかは、いっそう、暗くらく、うるわしいものに思おもわれました。このとき、銀ぎんのお盆ぼんを流ながしたように、月つきが照てらしたのです。
「おまえたちも、あんまり方々ほうぼうを遊あそび歩あるかないほうがいいよ。日ひが暮くれると、やっと安心あんしんするのだ。私わたしたちは、今日きょうも無事ぶじに幸福こうふくに、送おくることができたと思おもうのだよ。」と、魚うおの親おやたちは子供こどもたちを見みまわしながらいいました。
「お父とうさんも、お母かあさんもお休やすみなさい。」と、子供こどもたちはいった。
「みんなも、つかれたろうから、よくお休やすみよ。」と、親おやたちは、答こたえた。そして、魚うおたちは、巣すの深ふかみへじっとして、静しずまったのであります。
このとき、ひとり、なまずのおばさんは、穴あなの中なかから出でて、だれはばかるものもなく、大おおきな口くちを開あけて、水みずの中なかで、盲目めくらになって、まごついている虫むしどもをのみはじめたのでした。おばさんの頭あたまにさしている長ながい二本ほんのかんざしは、月つきの光ひかりが水みずの中なかまでさしこんだので、気味悪きみわるく光ひかったのです。
「昼間ひるまは、いろいろな魚うおたちが、わいわいいっているので、うるさくてしかたがないが、夜よるは私わたしの天下てんかだ。」と、なまずのおばさんは、大おおきな口くちでぱくぱくやりながら、へびのようにしなやかな尾おをひらひらさして歩あるいていましたが、そのうちに、すさまじい勢いきおいで、うなって、体からだを四苦く八苦くにもみ、ゆり動うごかすと、いくたびも水みずの中なかで転動てんどうしながら、どこかへ姿すがたをかくしてしまいました。
物蔭ものかげから、このようすを見みていた魚うおがありました。その魚うおたちは、小ちいさな声こえでささやいたのでした。
「まあ、どうしたのでしょう?」
「あのしゅうねん深ぶかい、おそろしいおばさんが、あんなに苦くるしんだのを見みたことがない。なんでも、思おもいがけない敵てきのために、ひどいけがをしたのですよ。」
「それに、ちがいありません……。なんという物騒ぶっそうなことでしょう……。」
魚うおたちは、ますます小ちいさくなって、息いきをひそめてじっとしていました。
川かわのふちに、あざみがつつましやかに咲さいていました。終日しゅうじつだれと話はなしをするものもなく咲さいていたのです。ただ、自分じぶんの姿すがたの水みずの面おもてにうつるのと、おりおり、音おともなく雲くもが、影かげを水みずの上うえに落おとして過すぎてゆくのを、ながめたばかりでした。
あざみは、咲さいてから、まだ間まのないときでした。ある朝あさ一ぴきのなまずが、すぐ目めの下したに、岸きしのすみに白しろい腹はらを出だして苦くるしんでいるのを見みました。どうしたのだろう? と、あざみは、だまっていました。しかし、日ひが明あかるく、水みずの面おもてを照てらしても、なまずは、おなじところに起おき直なおったと思おもうと、いつのまにか、また白しろい腹はらを出だして仰向あおむいて、もだえていたのです。
「どうしたのですか?」と、あざみの花はなは、ついに呼よびかけました。
このとき、なまずは、起おき直なおったところでした。
「ゆうべ、人間にんげんにやられたのです。もうすこしで水みずの上うえへ引ひき上あげられるところでしたが、やっと糸いとを切きってやりました。けれど、針はりがのどに残のこっていて苦くるしくてしようがありません。私わたしは、もう長ながい間あいだ、この川かわに生いきてきましたが、こんどばかりは死しななければなりません。」と、うらめしそうにいいました。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(1)
100%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: