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なまずとあざみの話(2)

时间: 2022-11-29    进入日语论坛
核心提示:あざみは、よく、なまずを見みますと、なるほど、年としをとっていました。小ちいさな魚うおたちが、気味悪きみわるがっているお
(单词翻译:双击或拖选)
 
あざみは、よく、なまずを見みますと、なるほど、年としをとっていました。小ちいさな魚うおたちが、気味悪きみわるがっているおばさんは、このなまずであるかと、しみじみとながめたのでした。しかし、あざみは、いま、この苦くるしんでいるなまずにたいして、同情どうじょうせずにはいられませんでした。
「ほんとうに、おいたわしいことでした。私わたしは、この岸きしに咲さいて、あなたのお苦くるしみなさるのを見みるばかりで、どうすることもできません。」といいました。
なまずは、また白しろい腹はらを出だして倒たおれたが、やっと力ちからを出だして起おき上あがった。
「私わたしは、人間にんげんをうらめしく思おもいます。この深ふかい水底みずそこにすんでいる私わたしたちが、どんな悪わるいことを人間にんげんにたいしてしたでしょうか?」
なまずは、そういったことさえやっとでした。あざみは、なまずのいうことに、耳みみをかたむけているうちに、人間にんげんが、自分じぶんを毒々どくどくしい、野卑やひな花はなだといって、足あしげにしたことを思おもい出だしました。そのとき、人間にんげんは、すみれの花はなをかわいらしい花はなだといってほめたのです。
「ほんとうに、いつ私わたしたちは、人間にんげんにたいして、にくまれるようなことをしたか。すべてが同おなじ花はなだのに、なぜ差別さべつをつけなければならぬのか……。」と、あざみは、思おもったが、口くちには出ださずに、
「あなたのおうらみなさるのは、もっともです。」といいました。
あざみは、なまずの苦くるしみつづけた最後さいごを見守みまもりました。その日ひの晩方ばんがた、なまずは、白しろい腹はらを出だしたきり、もう起おき直なおりませんでした。小ちいさな魚うおたちは遠とおくから、この有あり様さまをながめていたが、急いそいでこのことを親おやたちに告つげるために、姿すがたを消けしてしまった。
二、三日にちたつと、あざみの花はなは、黒くろく色いろが変かわってしまった。たまたま飛とんできたちょうが、これをながめて、
「この花はなは、病気びょうきだろうか?」といって、止とまらずに飛とび去さってしまったのです。
なやみと、うれいのために、あざみの花はなは、黒くろくなってしまったのでした。

都みやこからきた、植物学者しょくぶつがくしゃが、この川かわのほとりを歩あるきました。そして、黒くろいあざみの花はなを見みつけてびっくりしました。
「これは、たいした発見はっけんだ。この花はなに、おれの名なまえでもつけてやろう。」と、喜よろこんで、根ねもとから、あざみの花はなを切きってしまった。
学者がくしゃは、その花はなを帽子ぼうしにさしました。もっとこのあたりをたずねたら、新あたらしい、不思議ふしぎな植物しょくぶつが発見はっけんされないものでもないと、目めをさらにして歩あるいていました。
「なにか、新あたらしい発見はっけんをして、博士はくしになろう。」と、学者がくしゃの目めは希望きぼうに燃もえていました。
ちょうどその後あとへ、昨日きのうのちょうが飛とんできて、
「あの気きの毒どくな、病気びょうきのあざみはどうなったろう。」と、みまったのでした。すると、むざんにも、だれにか、ちぎられてしまっていたので、ちょうは、あわれな花はなの運命うんめいに同情どうじょうせずにはいられなかったのです。
学者がくしゃは、都みやこへ帰かえるため汽車きしゃに乗のっていました。あざみの花はなを散ちらさないようにと、帽子ぼうしにさしていたが、窓まどによりかかっているうちに居眠いねむりをしました。花はなは、もうまったくしおれかかっていたので、風かぜの吹ふくたびに、汽車きしゃの窓まどから、過すぎる村々むらむらへ、散ちって飛とんでゆきました。
原因不明げんいんふめいの軽かるい熱病ねつびょうが、村々むらむらへ流行りゅうこうしたのは、その後のちのことです。しかし、日ひがたつと、いつしかその病気びょうきも、あとかたなく消きえてしまいました。
 
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