手前に低い柵があり、すぐ中には深い掘。岩山にロープやタイヤの遊び道具がある平均的なサル山だが、興味は尽きないようで柵の隙間から飽きる様子もなく眺めている。
“懐かしいな…”
その昔、サル山が一番のお気に入りだった自分をふと思い出す。
グループ行動における役割分担や、ボスを筆頭にした序列など、さながら人間社会の縮図とも言えるこのサル山の姿が、大人になった今ではまた違って見える。
“何であの子猿は背中に乗っているの?”
“何であの猿ばっかりご飯を食べているの?”
まったく、今も昔も親は大変だ。観察するうちにたくさんの???が湧くのだろうが、丁寧に説明しようとする程子供は飽きてしまうので、さぞかし苦労しただろう。
“そうだ、次の休みにでもすっかり出不精になった親を誘ってみようか”サル山でのやり取りを、きっと覚えているに違いない。そして、自分達がどの猿のポジションか、一緒に探してみるのも楽しそうだ。