自然観上の細やかさとともに、日本的な美のひとつの特質は、優れた装飾性にあると思う。装飾的な美は洋の東西を問わず優れたものがたくさんあるから、日本の場合は、写実と装飾化の関係に特殊性がある。写実と装飾化ということは、元来、反対の要素であるのに、日本の美術では、それが渾然と融合している。日本的な美のひとつの典型を完成した平安朝の美術は、( )と、優美典型な装飾性な美しさをもって、しかも、対象の生命観を失わない特質を持つものであるが、この美的感覚は形を変えながらも今日も続いている。
1、第1段落では筆者は何を説明しているか。
①日本人の自然観上の細やかさ
②日本人は昔から一木一草の姿にまで愛情を込めて見守ってきたこと
③日本人の文学作品はいつも自然に託して自己の思いを語ること
④日本美術史上の作品は自然の生命を豊かに深く表しえたこと
2、「特殊性」とあるが、ここではどういう意味か。
①日本では、装飾的な美は特に優れたものがたくさんある
②写実と装飾化が渾然と融合している
③平安朝の美術は写実と装飾化な美しさを持っている
④写実と装飾化が渾然と融合している美的感覚は形を変えながらも今日の続いている
3、( )に入る言い方として最も適当なものはどれか。
①写実な美
②その美の感覚
③自然の豊かな生命
④自然観上の細やかさ
4、この文章のまとめとして最も適当なものはどれか。
①日本人は昔から、どんな小さな自然の変化を心に受け止めている。
②写実と装飾化が渾然と融合していることは日本的な美のひとつの特質である。
③日本の美術では、自然観上の細やかさと優れた装飾化が渾然と融合している。
④日本の美術では、対象の生命感を失わない特質を持っている。