科学は、他人に注意するという人間の行動に、「利他行動」という視点からアプローチする。
必ずしも自分の得にならない、むしろ損になるかもしれないのに、他人の利益のために敢えてする、というのが利他行動である。たとえば、自分が狩った獲物を他人にも分け与えるという行動もそうだ。
なぜ、注意することが利他行動になるのだろうか。注意された相手は、その後、ルールを守ってきちんとした行動を取るようになるかもしれない。そうなれば、結果、その人と接する人々は、得をすることになる。自らは何の行動も取っていないのだから、「ゼロのコスト」で、そのような利益を得たことになる。
注意をする人も、そのことで得することもあるかもしれない。一方で、行動するすることにはエネルギーが必要であり、喧嘩になったり、不快な思いをしたりするリスクもある。自らがそのような不利益を被りつつ、他者には無償の利益を与えるという意味で、「注意すること」は利他行動なのである。
1、「内心、何か言いたい」とあるが、誰にどんなことを言いたいのか。
①注意した人にありがとうとお礼を言いたい。
②割り込んで来る人に静かにするように文句を言いたい。
③注意した人に自分も注意するつもりだったと言いたい。
④割り込んで来る人に列に入ってきちんと並ぶように言いたい。
2、ここでの「利他行動」とは、何か。
①自分には損になる可能性があっても、他人のためにする行動。
②自分自身も豊かな気分になれるように、他人のためにする行動。
③他者の利益は結局自分の利益になると考えて、他人のためにする行動。
④自分が損をする可能性に気付かず、他人のことだけを考えてする行動。
3、「注意すること」の「不利益」として考えられることは何か。
①注意する人もされる人も不愉快な思いをすること
②注意することで周りの人が不愉快な思いをすること
③注意する人が注意することで不愉快な思いをすること
④注意することで注意された人が不愉快な思いをすること