「アンテナショップ」とは、企業が新製品の売れ行きを見たり、自社製品を紹介したりするために作る店のことだが、地方自治体のアンテナショップもまた、それぞれの地域のことをたくさんの人に知ってもらうという目的で作られている。
このような施設は、実は10年以上前からあった。しかし、当時は、OO県東京事務所、OO県観光案内所というような名称だった。そこでは、観光案内や特産品の展示、地元の就職先の紹介などを行っていたが、店の作りは、いかにもお役所的なものだった。
だが、最近のアンテナショップは違う。明るい店内には、きれいな観光写真が張られ、地元産の食品や工芸品が所狭しと並ぶ。特に食品類は人気で、地元の名産品や菓子はよく売れている。飲食コーナーやレストランを併設しているところもある。そこで食べられるのは、もちろん、地元の名物料理。「地元直送の食材を使った本場の味」が人気で、食事だけを目的に来店する人もいるほどだ。
南北に細長い国土を持つ日本は、地方ごとに独特の食文化がある。それは、「沖縄料理」「鹿児島料理」「秋田料理」など、地方ごとの料理店があることでもわかるだろう。最近は、テレビの旅番組や雑誌でも、地方の名物料理が紹介されることが多い。デパートでは、よく地方の物産展をイベントとして行うが、そこは常に大盛況。また、インタネットや通信販売による「お取り寄せ」も盛んで地元でしか手に入らない名産品を自宅に取り寄せ、いながらにして地方の味を楽しむという人も多い。
このような( )を背景に、自治体は東京にアンテナショップを開店しているのだ。(中略)だが、自治体にとって、テナント料の高い東京の一等地に出店することは、財政的に大きな負担になる。そのため、運営形態はさまざま。自治体が直接運営するのではなく、物産協会や観光協会に自治体が補助金を出す、複数の自治体が共同で運営する、など、工夫しているところも多い。しかし、運営形態は違っても、どのショップも、地元の魅力を知ってもらい、地元の品物を買ってもらおうと、一生懸命だ。
一方、都会の消費者から見れば、アンテナショップは、手軽に地方の名産品が手に入り、旅気分が味わえる、楽しく便利な場所といえる。都会の人が地方の食文化を楽しむことができ、それで地方の商品が儲かれば、一石二鳥。アンテナショップがうまく機能していくことを期待しよう。
1、「このような施設」とは、どのような施設のことか。
①企業が、自分の会社の製品を紹介する施設。
②東京都内で、話題になっている施設。
③地方自治体が、自分の地方を紹介する施設。
④アンテナショップという名前がついた施設。
2、( )にはどのような文が入るか。
①地方の食文化への関心
②インターネット利用者の拡大
③アンテナショップの旅行
④海外や国内への旅行ブーム
3、筆者は、アンテナショップについてどのように考えているか。
①自治体が直接運営するのではなく、観光協会が運営している点がよい。
②東京にあると、高い家賃がかかるから、もったいない。
③経営がうまくいって、もっとアンテナショップが増えるといい。
④以前のように、観光案内や就職先の紹介をしてもらいたい。