物語の特性の中で強調したいのは、「関係付ける」動きであろう。非常に単純な例を考えてみよう。コップに野草の花が一つ挿してある。それだけのことなら、別に誰もその花に注目しないかもしれない。しかし、それが病気で寝ている母親を慰めようとして十歳の少女が摘んできたのだと知ると、その花が単なる花でなくなってくる。その花を介して、その少女に親しみを感じ、語り手と聞き手との間に関係が生まれる。
物語が急速に価値を失うのは、近代になってからである。人間は化学の知によってすべてのことが可能になるとするような思い違いをしたために、多くの現代人はこの世との「関係」を切断され、いったい何のために生きているのか、その意味が急に希薄に感じられるようになったのである。( ア )とは、( イ )の在り方の総体のようなものである。私と私を取り巻く世界との( ウ )がどんなものかがわからずに生きていても、( エ )が感じられないもの当然である。
(河合準雄「物語と人間」より)
1、筆者は、物語の役割は何だと述べているか、最も適当なものを選べ。
①人間にものの客観的な姿を提示する役割。
②人間に文化や伝統を伝えていく役割。
③人間に過去との結び付きを認識させる役割。
④人間に自分を取り巻く世界との関係を意識させる役割。
2、ア~エに入るものの組み合わせとして、正しいものを選べ。
①ア:意味 イ:関係 ウ:関係 エ:意味
②ア:意味 イ:関係 ウ:意味 エ:関係
③ア:関係 イ:意味 ウ:意味 エ:関係
④ア:関係 イ:意味 ウ:関係 エ:意味