一九八四年度の総務庁の統計ですが、一世帯の平均貯蓄額がもっとも多いのは名古屋のある愛知県でした。ところが、普通預金に関しては全国で三一位という成績なのです。どういうことかというと、利息の高い貯金をしっかり選んでいるというわけです。このあたり、セコいといわれても仕方がないのでしょうか。
ドケチといわれる大阪の消費支出を、総理府の一九八九年度家計調査で見ますと、調査した十項目のうち、大阪が支出のベスト10に入っているのは食費と住居費だけ。逆に支出が少ないほうのベスト10には、教養娯楽費、被服及び履物、家具・家事用品、交際費の四項目が入っています。これを見るかぎり、大阪人は食や住など生活の基本的なもの以外には、大都市の①わりにはお金をかけないといえるでしょう。
環境問題からリサイクルが注目されていますが、リサイクルの情報雑誌などを見ると、東京と大阪の違いがはっきり出ています。
東京では、ワープロ、パソコン、ピアノ、骨董品など、勿体ないような品物が数多く出てきますが、大阪では湯のみ茶碗やハンカチ、ノート、文庫本などの品物がどうどうと売買されるのです。東京ではこれらはまずリサイクルには回さず、ゴミ箱へ直行していることでしょう。
三者の性格をあらわす、こんなたとえ話もあります。東京人と大阪人と名古屋人が会食しました。支払いの段になって、東京人が考えるのは「いかに自分がスマートに支払うか」大阪人は「三人でわったら一人いくらか」そして名古屋人は「どうすればおごってもらえるか」だそうです。
こういった事例を見ても、見栄えの東京、ドケチの大阪、せこさの名古屋はかなり当たっているのかもしれません。
練習問題
1、文中の①「わり」の使い方と同じものはどれですか。
10人に6人のわりで、試験に受かりました。
あの先生の話し方はわりにゆっくりなのでよくわかる。
この冬は寒かったわりには、風邪を引く人は少ないかった。
そんなわりのいい仕事はめったにありません。
2、この文章のテーマとして最も適当なものを一つ選んで②に入れてください。
こんな偏見もある
調査で分かる日本人の性格
東京の見栄、大阪のドケチ、名古屋のせこさ
日本大都市事情
3、名古屋人の特徴に当てはまるものを下から選んでください。
会食の場合でいつも人をおごりたがる。
利息を得るために普通預金でお金をたくさん預けている。
使わないものなら、何でもすぐ捨ててしまう。
最大限の利益を得るために、普通預金より利息の高い貯金を多く利用しているようだ。