ハッピーエンド
高校時代、あこがれの女の子がいた。勉強も出来、スポーツ万能、優しくて、何より綺麗だった。身の程知らずの私は、無謀にも、彼女の下駄箱に、ラブレターを入れた。自分の気持ちを告白し、デートに誘う内容だった。
当日、待ち合わせの場所に行くと、彼女の姿は見当たらない。辺りを見回してみると、誰かが肩を叩く。胸どきめかして、振り向くと、同じクラスの女の子がいた。普段からあまり目立たないその子が、差し出した手には、あこがれの彼女に当てたはずのラブレターが???
私は一瞬絶句し、慌て者の自分と無情な神のしわざを呪った。彼女の誤解を解こうと、何か言おうとしたとき、彼女がはにかみながら、「うれしかった」と一言。
その日、私は彼女と映画を見に行き、帰りにモスバーカーで、スパイシーモスチーズバーカーを食べた。
その時の女の子は、今私の傍らにいて、生活をともにしている。
もうずいぶん長く一緒に暮らしているのに、彼女のはにかむような微笑みを見ると、私の心には、いつも温かいものが広がる。かけがえのない、美しい微笑み。
今、私は神のみわざに感謝し、慌て者の自分を祝福をしている。