今朝、練習をサボってしまった。
いや、サボるというような後悔の感覚はない。むしろ、それが不思議だ。走る気がしないから走らなかった。
自然な感じ。何をするわけでもなく部屋にいる。
ぼくという装置。
そのまま高校での午後の本練習にも出ないでいたら、山口から電話があった。わかった。そうしよう。行くよ。
この前とは、別のクラブ。
山口は常連だったらしい。しばらく来てなかったのだけど、と言う。
強い酒。
山口は、自分の吸っていたタバコを、人差し指と中指ではさんで、静かに平行移動させる。ぼくの口に向かって。
ぼくは、山口の指の間にあるタバコをくわえ、吸い込む。
最大酸素摂取量に悪い影響を与えるであろう気体が、ぼくの肺の中へ、肺胞の隅々にまでいきわたる。
一瞬、目の前がクラッとなったぼくに、山口が微笑む。