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七 メリピット荘のステイプルトン兄妹(7)_バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬)_福尔摩斯探案集_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示: これがあのミス・ステイプルトンであるに違いなかった。沼地一帯に、こんな上品な女は幾人もいるはずがないし、それに、誰かが
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 これがあのミス・ステイプルトンであるに違いなかった。沼地一帯に、こんな上品な女

は幾人もいるはずがないし、それに、誰かが彼女を美人だといっていたのを私は覚えてい

る。

 近づいてくる女は、たしかに美人で、それもひどく変わったタイプの美人だった。それ

にしても、兄のステイプルトンと比べて、世にこれほど違った兄妹は、またとあり得ない

だろう。というのは、ステイプルトンが薄ねずみ色の顔、薄色の髪、灰色の目の持ち主で

あるのに反し、彼女のほうは、私がイギリスで見かけた、どの浅黒型の女よりも色濃い、

すらりとして品のいい背の高い女だったのである。その自信にみちた顔だちはくっきりと

美しく、あまりにも整った敏感そうな口もとや、じっと見つめる黒い瞳がなければ、冷淡

な感じを与えたかもしれなかった。一点非のうちどころのない肢体 したい に優雅な服をまとっ

た彼女の姿は、さながらこの寂寞 じゃくばく たる沼地の細道にあらわれた、あやしい幻の女、と

言ってよかった。

 私がふり向いたとき、彼女は兄のほうを向いていたが、やがて足を速めてこちらに進ん

で来た。私が帽子をとって、何かこの場の説明をしなければと思っていると、彼女のほう

から、まるで不意打ちにこんなことを言い出して、すっかり私をまごつかせた。

「帰って下さい! まっすぐロンドンに帰って下さい。すぐに」

 私はあいた口もふさがらずに、彼女をみつめているばかりだった。いっぱいに見開いた

目を私に向けて、彼女は歯痒 はがゆ そうにトントンと地面をけるのだった。

「どうして帰れとおっしゃるんですか」私は訊いた。

「説明はできないんです」低い、胸に迫った声で彼女は答えた。発音に妙に舌足らずなと

ころがあった。

「お願いです。黙ってわたしの言う通りになさって下さい。そして二度とこの沼地に近寄

らないで下さい」

「しかし着いたばかりなんですがね」

「ああ困るわ。あなたのために申し上げていることがおわかりになって頂けませんの?

ロンドンにお帰りになって! 今夜すぐお発ちになって下さい。どんなことがあってもこ

こをお離れになって。しっ、兄が参りますわ。いまのこと、絶対に内緒にしておいて下さ

いね。あちらの《とくさ》の間に生えている藺 い をとって下さいません? この辺の自然を

ご見物でしたら、大方時期をはずれてしまいましたけれど、でも藺だけは沢山生えており

ますの」

 ステイプルトンは虫をあきらめて戻って来た。大活躍で顔は真赤になり、息をきらして

いた。

「なんだ、ベリルじゃないか」妹を迎える言葉としては、いささか素気 そっけ ない調子に思え

た。

「あら、ジャックったら、真赤よ」

「うん、キクロピデスを追っかけていたんだ。なかなかいない虫でね。ことに晩秋に飛ん

でいるなんて、滅多にないことなんだ。逃したとは残念無念」

 さりげない口ぶりだったが、薄色の小さい彼の目は、たえず私と彼女の間をちらちらと

往来していた。

「自己紹介はもう済んだらしいね」

「ええ、わたし、サー・ヘンリーにこの辺の自然をご見物だったら、もう時期はずれだと

申し上げていたところなの」

「おいおい、この方をどなただと思っているんだ」

「あら、サー・ヘンリー・バスカーヴィルでしょう」

「とんでもない」私がいった。「ただの平民ですよ。彼の知り合いには違いないんです

が、私は医者でワトスンという者です」

 困り果てたように、彼女はその表情豊かな顔を赤らめた。「わたしたち、まるで見当は

ずれの話をしていましたのね」

「おや、そんなにいろいろ話をする暇があったのかい」ステイプルトンは依然としてけげ

んそうな目つきをして彼女に言った。

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