[白文]25.子曰、巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之、匿怨而友其人、左丘明恥之、丘亦恥之。
[書き下し文]子曰く、巧言・令色・足恭(すうきょう)は、左丘明(さきゅうめい)これを恥ず、丘もまたこれを恥ず。怨みを匿(かく)してその人を友とするは、左丘明これを恥ず、丘もまたこれを恥ず。
[口語訳]先生がいわれた。『弁舌が巧み・表情が豊か・やたらに腰が低いというのは、左丘明は恥ずべきことと考えた。丘(孔子)もやはり恥とする。怨みの気持ちを隠してその人と友人になるのは、左丘明は恥と考えた。丘もやはり恥とする。』
[解説]左丘明は、孔子が敬意を抱いていた人物の一人であるが、詳細は不明である。孔子は言葉が上手くて容姿や表情が演技がかっている「巧言令色」を嫌い、巧言令色によって他人の好意を得ようとする人には「仁」が少ないとまで言っている。過度にうやうやしくて、お世辞やご追従ばかりする人物も信用ができない。また、孔子は左丘明と同じく、自分の内面にある憎悪や嫌悪を押し隠して接近し、うわべだけ仲良くするような人物は恥を知らないと考えたのである。