[書き下し文]子曰く、孟之反(もうしはん)は伐らず(ほこらず)。奔って(はしって)殿(でん)たり。将に門に入らんとして、その馬に策ちて(むちうちて)曰う、敢えて後れたる(おくれたる)には非ず、馬進まざるなりと。
[口語訳]先生がおっしゃった。『孟之反は、自分の功績を自慢をしない。軍が敗北した時に、殿(しんがり)を務めた。遅れて城門に入ろうとする時に、馬を鞭打ちながら言った。「わざとみんなのために殿を守って遅れたわけではない、ただ馬が前に進まなかっただけだ」と。』
[解説]魯の猛勇な勇士として知られていたのが孟之反であるが、彼は自分の手柄や功績を顕示して自慢することがまるでなかった。孔子はその孟之反の謙譲の徳に敬意を覚えており、斉との戦争で一番苦しい殿軍を勤めて勇戦した孟之反の功績を讃えているのである。